【寄稿】令和2年をざっと振り返る/POKKA吉田

緊急事態宣言下では保通協の型式試験申請枠そのものが減少となった。これも極めて異例のことだ。当時、「8割減」という言葉が盛んにアナウンスされていたが、保通協が削減した型式試験の枠は6~7割くらい。ただしそのちょっと前から型式試験申請枠の抽せん立会いを止めていたため、合算でちょうど8割減。政府の方針に倣うのはさすが警察庁の外郭団体といってもいい保通協ならではのことだ。

遊技機メーカーにとっては、GLIJapanが稼働した今となっても最重要なのは保通協の型式試験である。ほぼ、というかすべてのホールに販売する遊技機は保通協の型式試験に適合しなければならない。遊技機メーカーにとっては型式試験は新台を販売するために絶対に通らなければならない関所であり、型式試験適合のみがその通行手形となる。この手形を得るための枠が減るということなのだから、遊技機市場の新陳代謝が悪くなってしまうことは不可避である。

こういった状況下でも4月末頃に源さん韋駄天が登場したのは重要だ。増産再販をしても今なお中古相場で高額の値段をつける同機種の登場は、閉塞感に覆われつつあった改正規則機市場の中の、少なくともぱちんこ遊技機についてはある程度の展望を描けるようになったということが言える。源さん韋駄天のヒットを他メーカーは積極的に参考にしたので、6月頃は開発企画に携わるメーカー関係者のワーク環境は激しくなっていた。一度作ったものを作り変えるなんて作業もこの時期は珍しくなかったようで、営業職域がまだテレワーク化していたところもあったが、開発企画職域はむしろ残業を繰り返していたということも聞いている。

ホールの休業要請やバッシングなど、業界環境的に外部要因で厳しい材料もあった年にはなったが、新台のリリースが多かったり注目タイトルがあったりすると、全体的な業績が良くなるという当たり前のことも再確認できた年でもあった。9月、あるいは11月前半、12月前半など、注目タイトルの新台の導入が始まった時期は、全国平均としても稼働があがっているのは間違いない。一方で、いまなお続くコロナ禍の影響もあって、遊技客の中には(それは年配者の方が多そうだが)遊技意欲が減退しているあるいは遊技消費からの撤退ということも目立っている。これは、確実に越年する話であり、今は各国で開発されているワクチンなどの奏功度合いを注視しながら我々は祈るくらいしかできないが、それでも全国の青年部会作成による動画などによってぱちんこ店の優れた換気性能が実証されアナウンスされたことは、春の全国的な休業ムーブを防ぐという意味では極めて重要だった。公的融資もありがたいが、そもそもこの業は店舗商売であり、店が休業させられたら伸び代も工夫もあったもんじゃないからである。

令和3年は旧規則機撤去の最終年だ。11月末までにはあの北斗無双も撤去である。改正規則機群が旧規則機をどれだけ補填することができるかは展望が描けたとはいえ、ぱちんこ遊技機においても断定的なことはまだ言えない。6号機もまさにこれから低ベース値の新機種が増えていくという予測がついており、ぱちんこ遊技機が下馬評通りに展望が描けること、6号機が令和2年よりも3年の方が盛り上がること、この二つが業界にとってはおそらく最重要課題となるだろう。

そのようなことを考えながら、今年の打ち納めをどの機種にするか、今から検討したい。個人的にはエヴァ決戦か吉宗3かになりそうだが、最新の北斗無双も捨てがたい。みなさんも越年して業を続ける以上、今年のこの異常な一年間を一度振り返って精神的な節目として、新年に備えていただければと思います。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

-コラム
-