今のように新機種がたくさんリリースされる時期、しかも休業要請のように営業の断層が生じていないというこの時期はとても重要である。日々、ホール店舗においては釘や設定で最善のオペレーションを模索していることと思うが、今後、年末年始にかけて新機種群がぱちんこパチスロともに多くあるように感じるので、向こう数か月の店舗側の努力はとても重要となる。10月に登場した新機種を一通り遊技してきたが、店舗ごとに扱いに差があって、久しぶりに遊技客の視点から店選びの重要性を強く感じた。パチスロは吉宗しか打ってないし設定がすぐにわかるというものでもなかったからともかく、ぱちんこの場合は一般遊技を20分もすればスタート回数ははっきりわかる。牙狼で13回/千円、エヴァで12回/千円なんて釘調整は嫌悪しか残らない。
遊技客視点でいえば「そこまでスタートを閉めるくらいなら新台を買うな」と思うわけだが、ホール企業の視点でいえば「新台を積極的に買ってそこまでスタートを閉める方が利益がある」と考えるからそうやっているわけである。そういう店がまだあるということは、設備投資を極端に抑制しないことで事業を継続できているということも示唆する。元来、消費者はなんとなくのレベルも含めると「値段には敏感」な生き物だ。吉野家などの牛丼チェーンが並盛を800円で販売すれば客がいなくなることは目に見えている。しかし、ホールの場合は必ずしもそうではない。牛丼並盛を800円で売るようなスタートでもある程度集客できることもあって、このようなことこそがホール営業の専門性というところだろう。
詳しくは公式にアナウンスがまったくない状態ではあるが、パチスロ6号機については、その適合率推移の悪化とは裏腹に開発企画ベースでは(ペナ関係の開発)環境が改善してきている。これらが市場に良い影響を与えるのは年末年始以降ということになりそうだが、もちろん明るい話には違いない。今後、実態として「どこまで高純増か」という性能注目点とともに「純増枚数と一般遊技中のベース値」との対比もより重視して新機種群をチェックしてほしいところだ。
気が付けば新機種がざっくり年間100型式(ぱちんこ、パチスロそれぞれ、スペック違い含む)登場するというのが常態化していた。このとき、ほとんどのホール企業の機種選定担当者はすべての新台について検討することはできていない。単純計算で3日に2機種の新台が登場することになるし、前年までの中古機やチェーン店移動機も含めるとフォローできる数を超えているからだ。
このときは「野菜のことを知らない八百屋がいないのに遊技機のことを知らないぱちんこ屋があるのはまずい」と機種情報把握の重要性をしばしば訴えていたが、一人二人の担当者が全方位をカバーできるわけでもないので機種情報に疎い店舗現場というのが増えていた。しかし、今年は新機種についてはそこまでのペースではなかったように思う。
すべての新台をチェックすることが不可能というくらいに新機種群が登場して、大ヒット機やヒット機がいくつも登場すれば、自然に市場は回復する。今年の年末年始の商戦を軸にその状況が到来することを願っている。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。