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『遊技日本』

【寄稿】たくさん出てこそ/POKKA吉田

投稿日:2020年10月28日 更新日:

今年の遊技機市場は源さん韋駄天とともにあったような印象が強い。コロナ禍真っ最中の休業要請があちこちで出ていた時期に導入されて気が付けば今年一番のロングラン遊技機となっている。最終販売台数も部材等の用意が間に合うならばさらに増える可能性もある。

一方で、それ以外の新台のうち、ようやくこれから機種数が増えてきた。10月の新台で一番打ちたかったのは私の場合はエヴァになるが、多くのホールにとっては牙狼への期待が大きいことだろう。今のところ牙狼は10月の新台の中では最も営業成績が良いが、これがどこまで続くかも注目である。

この業界の市場規模は日本生産性本部のアンケート調査によるよりもホールコンピュータのマスデータの方が圧倒的に信用できる。たとえばダイコクのデータは業界関係者にとってはお馴染みであるが、ぱちんこが急激に伸びているということではない。今年は5号機の撤去も幾分は進んだことからパチスロの収益額が落ちてぱちんこが良く見えている、という程度の理解を私はしている。

源さん韋駄天の成功は、業界全体の視点でいえば、もっと設置台数が伸びて欲しいということもある。せめて10万台の大ヒット機が長期稼働すれば、という視点だ。しかし今年最も成功している機種には違いないので、稼働貢献が続き三洋の供給体制可能範囲でどんどん台数を出して欲しいものである。昔は20万台という数字もあったし、累計ではさらにはるかに多い台数という機種も珍しくはなかった。しかし、今の時代は5万台でも大ヒットである。現行規則機で10万台を超える機種がいくつも出てくるようなら遊技機市場はものすごく活性化する。願わくばぱちんこパチスロともに10万台超えが2、3機種登場してほしいものだ。

いろんなところで何年も言い続けてきたことだが、ホール企業が経営破綻する場合、設備投資の減少が引き金になっていることが私の見てきた中では多い。経営環境が苦しいからコスト削減を徹底し結果設備投資、特に新台入替をしなくなるというのは道理なのだが、設備投資を抑え過ぎると店の凋落スピードがはやくなってしまうこともある。かといって、手当たり次第に新台を買うわけにもいかないし、中古機で入替をまかなうにしても極端に設備投資を抑えている店は数か月に一回、数台の中古機、ということも珍しくはない。今年のようにコロナ休業などの逸失利益といってもいいことがある経営環境だと、さらにこの悪いスパイラルに拍車がかかる。

そのためには新台の大成功がどうしても不可欠である。10万台クラスの大ヒット機なら1機種でも良いだろうが、2~3万台クラスのヒット機の場合は4、5機種くらいないと心もとない。いずれにせよヒット機の登場は長い業界の歴史上確率みたいなものであり、新機種群がたくさんあって初めてヒット機の登場確率も高くなる。その意味では、源さん韋駄天が牽引しているぱちんこよりもパチスロの方の新機種の数が増えることはとても重要である。

新台が盛り上がるとホール企業も新台入替を積極的に展開しやすくなる。ホール企業経営としては「全体的な高コスト体質からの脱却」はとても重要なテーマには違いないが「仮に値段が高くとも利益を長く生み続ける機種」がある方が即効性がある。中古機価格が100万円を超えても成立する機種は、それだけの値段を払ってでも買いたいホール企業があるからであり、買いたい理由は買うことによって利益を得られる公算があるからに決まっている。機種によっては新店需要で機種単体での採算を度外視する高額中古機購入もあるが、それとてホール企業全体としては買う方が利益になるという計算があるからこそ。

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