7月は特に日本社会がまた大変な時期になってしまっている。各地で甚大な被害を出した豪雨があり、新型コロナウィルスの陽性者が主に大都市圏で急増し、GoToトラベルの大混乱だ。ひいき目に見ても日本大丈夫か?と思わざるを得ないほどの事態と言っていいかもしれない。
ぱちんこ営業は、世間的には不要不急のタグがつけられる業界だ。それは余暇市場全般について言えるもの。その余暇市場の最大の参加者数と言っていいかもしれないものが旅行・観光だろう。毎年のレジャー白書の参加者数という意味ではなく、自分の住んでいる地域から離れたところに家族や友人と出かけるということをこの市場に含めるとすれば、人生の中で経験したことがないという人を探す方が困難なほどである。その意味で、ほぼすべての人にとって日常の中にある消費行動だ。
7月はまず東京の陽性者数の急増が目立ち、それにつれて東京の隣県を含む首都圏、大阪や京都、福岡、沖縄、愛知、岐阜などが続く。0人を続けていた岩手でも確認され、マスコミは既に第二波到来モードの報道を7月から繰り返してきた。観光業を救うためのGoToが大混乱するのと併行してしまった。
いま、ようやく行政者やマスコミも「コロナ差別の深刻さ」を理解したようだが、これはかなり遅い。世間はとても怖いもの。私の住む東京都足立区でも、第一波のときに区内のある家族が皆陽性となった。その家族の子ども二人は小学生と保育園児。発生と同時にこの家族は地元で特定されることになり、後に家族すべてが回復して日常生活を取り戻せるという段階になってどこかへ引っ越ししてしまった。陽性が確認された段階で地域住民の酷い差別に耐えられなくなったという。
足立区は、区立小学校や区立中学校の児童・生徒が陽性となった場合、区内全域の区立小中学校の保護者(登録者のみ)に対して児童・生徒が陽性となったことを伝える区のメールを配信してきた。ここにはもちろん個人情報は掲載していないのだが、陽性者の児童・生徒が通っている小中学校の保護者と、通っていない小中学校の保護者と、メールの文面を変えていた。このため、保護者同士の付き合いで即時に「どの学校の児童・生徒が感染したか」即、確定できてしまう。さらには、学校が特定されれば地域の中でそれが誰なのか、をも特定するのは児童・生徒の家族と近隣の者にとってはとても簡単な作業だ。これをたとえば今風にSNSを駆使してWEB上で、ということをせずともリアルな口コミで地元にそういう情報が急速に流布される。結果、当該家族はえげつないレベルの差別を受けてしまうことになる。
足立区はその一件を反省したようでメールの配信のしかたを変更した。これは息子のかかりつけの医者が言ってたことなので間違いないと思うが「あの件(家族が夜逃げ同然で引っ越し)があまりにも酷かったのでしかたがない」と足立区の対応に理解を示していた。具体的には、たしか関係のない学校の保護者にメールが行かなくなったというものだったと記憶する。が、それでもコロナ差別はなくなる気配はない。
ずっと0人を続けてきたからかもしれないが、岩手県内では知事や陽性者が確認された市の市長などがずっと個人の特定をやめるように配慮するように呼びかけ続けている。岩手県の達増知事は、陽性者への誹謗中傷について「鬼になる」と発言。厳格に対処するということを明示したが、これは7月31日のことだ。先程触れた足立区のケースは緊急事態宣言中のことであり、既に全国各地で同様の事例が多発しているのだ。石田純一のように突っ込みどころ満載の行動をしてバッシングされる有名人や浜松の会社社長、青森の警察官のように有名人でなくても感染拡大を助長するような行動をしてバッシングされる人もいるが、単純に検査で陽性となっただけでも人生を大きく狂わせるくらいの差別を受けるケースがあるということを、そろそろ皆さんも実感しつつあるだろう。