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【コラム】新仕様の実現にまつわる話(前編)/ぱちんこ開発者の独り言

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ぱちんこ開発者の独り言㊶
遊技機開発には切っても切れない関係にあるのが「技術上の規格及び解釈基準」である。ここには、遊技機に満たすべき条件が書いてあり、記載事項を守らなければ遊技機として認められることは無い。

しかしながら、ここに記載されていない事項も少なからずあり、それらに関しては、警察庁に質問書として個別に内容を質問するか、保通協における型式試験において、その遊技機が遊技機として満たしているかどうか直接確認をするかのどちらかになる。

どちらの方法も選択肢として存在し、その内容に関して、どちらかを選択することが多い。例えば、質問書に関しては個別の内容について具体的に質問を行うことができるが、警察庁からの回答に数か月を要すること、質問内容及びその回答をメーカー間で共有することになっているため、今現在の開発内容の一端が他メーカーに漏れてしまうことなどがデメリットとしてあげられる。

一方、保通協の型式試験に直接持ち込む方法は、適合もしくは、不適合時に告知される不適合理由に、その内容についての指摘がなければ基本的に、その内容に関しては問題が無いと判断して相違ない(意図的にその仕様を隠して試験を受けた場合は、その限りではない)。

こちらに関しては、従来の保通協試験結果と大体同じ期間で結果が出るため比較的スムーズであるし、他メーカーに情報が漏れることはないのであるが、試験費用がかかるのと、もし不適合だった場合、修正が必要になるというリスクがある。

質問書の方は、金銭的なリスクは無いが、仕様に関して事細かく確認する必要があるので、少しでも射幸性に繋がると判断された場合はNGをくらうことが多いため、本当に通したい仕様の場合は、リスクを冒してでも直接保通協に持ち込むという判断を取ることが少なくない。

同一の規則下においても、今までになかった新しい解釈が広まることで、新しい仕様が生み出されていくことが多い。そのため、各メーカー開発者は、他社機の新仕様には目を光らせている。

その中でも最も有名とされる話は、豊丸産業の「CRウイッチブレイド」であろう。このウイッチブレイドで搭載された「アタックラウンドシステム」、別名V確変のおかげで、この数年の遊技機の幅が大きく広がったのは間違いない。

また、ここ最近の1種2種混合機のブームは、大一商会の「CR T.M.Revolution」で搭載された「T.M.RUSH」スペックのおかげであるのも間違いない。ウイッチブレイドがなければ、旧基準の「CR牙狼」や「CR北斗無双」のスペックが実現しなかった可能性もあり、T.M.Revolutionがなければ、「CRシンフォギア」が今のようなスペックではなく、全く別物のスペックだった可能性も高い。

次回のコラムでは、このあたりの具体的な話について言及していきたいと思う。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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