1. ますますカオス(混迷)な状況に突入
2024年になってから3ヶ月と経っていませんが、想定を超えるスピードで「経営環境」は変化しています。物価高・賃金アップの流れの一方、GDPは世界4位に転落、過去にない円安の長期化と量的緩和の金融政策継続による格差社会はさらに広がりを見せています。もはや景気は上昇局面でなく反対に下降・下落していて、上場企業を含め「いかに設備投資を抑制しているか?」ということが裏付けされた、それが日本社会の現状と思います。
パチンコ業界は規則改正のタイミングでコロナ禍に直面し、生活が一変したタイミングの今、スマート遊技機導入・新紙幣対応による設備投資等、半ば「強制的に」投資をせねばならない時期に来ました。また、昨年末の大手ホールの民事再生で業界に対する「金融機関の融資姿勢」は硬化、資金調達面においても厳しい状況が続いています。この「設備投資局面」と、営業による「資金調達」を同時に進めねばならず、特に内部留保の少ないホールにおいては戦略と「素早い経営判断」が重要になると考えます。
このカオスな経営環境の変化と業界が置かれている状況が今後数年続くと想定し「我慢すべきは我慢、投資すべきは投資」と「間違いのない」判断が必要で、その為に「正しい情報収集と現状分析」が必要不可欠になるでしょう。
2. 設備投資の優先順位は「スマスロ強化」
現在、やや勢いが止まった感もある「スロット市場」の状況ですが、それでも若年層を中心に支持は広がっています。本来、低迷を続けるパチンコと「同時並行に」課題解決すべきですが、しばらく投資の中心は「スロットから」という法人が多いのではないでしょうか。
その狙いは、恐らく今後の経営の「安定基盤」としてまずはスロットユーザーを囲い込み、業況回復の起爆剤にし、遊技機・出玉等の「投資対効果」のパフォーマンスを最大化させるという一面があるのでしょう。また低成長時代が継続していく、という前提で考えれば、まずは「スロットでの基盤確立」を優先に、そこから「パチンコの立て直し」がセオリーとなるのも当然なのかもしれません。
しかし優先度は低くても、パチンコの稼働低迷に対して「何も手を打たない」ということではありません。例え増客や稼働アップが困難でも、最低限「現状維持」は死守する、そのような投資・営業戦略が重要です。ここは共感頂けるのではないでしょうか?
3. 入替中心の「スロット」、出玉中心の「パチンコ」
これからのホール投資の優先順位付けを深読みすると、今年は「入替中心のスロット」「出玉中心のパチンコ」になると思います。その理由と狙いは、お客様から見る「お店の心証、イメージアップ」です。特にメーカーのスマスロ開発の意欲は高く、供給される機種数はさらに増えることが予想され、パチンコ店にも「品揃えの充実」が求められるはずです。なぜなら行動範囲の広い若年層は、自分の好きな機種を選ぶことのできる、1機種あたり台数の多い「大型店」へと足が向き、継続的に情報を追いかける傾向が強いので。
無論、人気機種の選別・購入の実現が課題になりますが、ここは地域や競合状況、お客様の可処分所得や参加率等、緻密なマーケティングが必要不可欠で「新台なら良し」「人気機種であればOK」というわけではありません。この「マーケティング」の部分こそ、お店の独自性・差異化部分ですし、そこはしっかりお客様にアピールし、お店の長所として欲しいものです。
4. このピンチな状況をチャンスに変える為に
コロナ禍明けから、パチンコ店の「集客格差」は非常に目立っていますが、今年はさらに格差が広がることは既に確定的です。人・モノ・金・情報の経営資源の「格差」もありますが、立案した作戦を即時実行する「戦略格差」も非常に大きく、手を打つ「スピードの速さ」がそのまま企業格差となって、業績に反映されています。
ピンチをチャンスに変えるには、まず「今のお店の実力」を冷静に現状評価し、どんなストーリーで成長していくのか?成長していきたいのか? を真剣に考える必要があります。この「成長したい」という「意識改革」が全ての出発点です。成長の手段は・やり方は多数ありますが、目標…目指すべき「山の頂点」は一つです。
場当たり的な対応に決して終始することなく、常に状況を「先読み」し、リスクを回避しながらも機会損失のないようタイミングを見計らう、その根幹となるのが目標です。是非、目標を強く意識し、自らモチベーションを高めて業務遂行に邁進してもらいたい、と思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!