1. メーカーの「スマパチ」供給スピード停滞
スマパチの普及状況を見ると、残念ながらスマスロ普及のスピードと比較するとかなり遅く、7割程度の普及まで数年かかるのでは？ と言われています。これは業界を取り巻く経営環境の変化と同時に、強烈な節約志向が社会に蔓延、その中でもユーザーの「パチンコ離れ」は加速度的に進み大きな影響を受けているから、と推測できます。しかも、まだ「底」が見えず、この先どこまで市場縮小するのかも全く予想ができないほどの状況で、今のところこの課題を打開する有効策が見当たりません。
パチンコ店はコロナ明け、期待以上の業績が戻らず、スマート遊技機へのインフラ投資に加え、改刷問題への対応と大きな設備投資局面を迎えています。昨年末、大手ホール企業の民事再生により金融機関の融資姿勢は大きく変わり、資金調達面でも苦戦、そのような中での「パチンコ離れの加速」ですから、経営体力の有無により、さらに格差が広がるのは周知のところでしょう。
2. 娯楽業から「ギャンブル業」へと進むパチンコ業界
大衆娯楽が代名詞であったパチンコ業界も今は昔、スロット人気に押されてのパチンコ店の「等価交換営業」化、一物一価により「パチンコ機を等価交換で運用」が続き、また遊技機開発は「低ベース化」「出玉の波の荒さ」がトレンド・際立ってきたこと、そして金銭消費スピードは格段に速くなり、ユーザーの参加頻度は大きく下落している点が大きな問題となっています。
恐らく、今後「スマスロ人気」が持続する限りは、パチンコの等価運用・金銭消費型娯楽・ギャンブル化は避けられず、パチンコ他店がライバルではなくなり、公営ギャンブル参加者の奪還が成功要因となるはずです。
TVCMを大量に投入し、マスメディアを使ってイメージアップを継続的に図る公営ギャンブル業が相手になりますから、ユーザーの共感が得られ参加頻度を伸ばす為には、相当なコストと時間が必要ですし、お店の方向性を継続して訴えていく必要があります。 もう、機械性能だけに頼った営業は終焉を迎え、店舗コンセプトが評価される時代に突入していくことでしょう。
3. 1パチと5スロの「利益額」が変わらなくなってきた、という現実
多少地域差はあるものの、現在同じ低貸営業の「1パチと5スロ」は、利益“額”が非常に近い実績を上げるようになってきました。これは昨今のスロット人気もあって5スロの稼働アップが主な要因であり、今後その設置台数を増やそうとする店舗が増えてきています。
前述した通り、スマパチとは異なりスマスロ供給は増加傾向で、ホールも20スロ運用後のチェーン店移動や再設置という「二次活用」によって、資産効率も一気に高まるメリットがあります。また、中高年層の「スロット支持」もあって、参加人数が増えていく実感が現場にはあるようで「来店客数増」という面でも貢献度は高い、と期待されています。過去、1パチが市場浸透した時と同様に、次の「重点投資案件」はスマパチではなく「スマスロの5スロ化」となるのではないでしょうか。
4. どんなお店を作り上げたいのか？ホールは問われている！
中々、コロナ前の業績まで戻らないパチンコ店が大半の中、逆に「ギャンブル化」を進める為に「等価交換営業」店が非常に増えています。また、市場が縮小しているにも関わらず「遊技機の射幸アップ」に躍起になっている現状をユーザーが見て、一体「これからのパチンコ店は、何がしたいのか？どうなりたいのか？」という疑問を持たれているとも感じます。
その答えは、企業やお店により異なりますが、少なくとも現在は「客数」が「減り続けている」ことから、今のやり方では社会は「No！」という反応です。この事実をもう一度、業界は受け止め強く認識すべきです。そして、客数を増やす為にホールはどんな価値を提供出来るのかを議論し、アクションを常に起こしていく必要があると思います。このまま「ギャンブル化」を進めればさらに市場縮小が加速するだけです。
お客様はこの先「パチンコ店」がなくなっても困りませんが、お店は「お客様」がいなくなったら終わりです。ビジネスが成立しません。なので、まず始めにアクションを起こすのはパチンコ業界の方です。今後は「低貸5スロのスマスロ化」が投資のトレンドになりそうですが、スマパチ投資の課題を含めて、もう一度、企業の戦略を再考してもらいたい、と思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ！」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず！