ちょうど本稿は大阪、兵庫、宮城(の6市)にまん延防止等重点措置が適用され、東京、京都、沖縄に重点措置がさらに適用される見込み、という段階で書いている。基本的には緊急事態宣言と重点措置とで、ぱちんこ営業に対して行政からのアプローチは変わっていない。仙台市では時短営業を任意で求められているが、宣言期間中と同様に強制力もペナルティも補償もない形である。遊協組合というか重点措置は都道府県が市を限定して指定する仕組みであるため単組レベルも含めてということになるが、この任意の時短要請に応じるように呼びかける組合は今のところ私は知らない。相変わらず、感染拡大防止のために制限する根拠を行政は示さないのだから、個別判断で、となるのは当然だろう。すなわち、時短営業はもともと店側によほど夜稼働の悪化などの事情を抱えていない限り応じる店はほぼないのではないかと思われる。まあ、東京、京都、沖縄について重点措置で各自治体がどのような要請をするかは完全に明らかになってはいないので状況が変わる可能性はあるが、本紙が発行されている頃には既に結論は出ているだろう。たぶん緊急事態宣言中と同じ対応になっていると予想している。
3月は21世紀会決議をめぐって、全日遊連理事である栃木と茨城の理事長が、全日遊連理事会で辞任勧告決議されるという極めて異例の事態になった。この経緯等は業界内だけではなく業界外にも広く発信されているため、世間的な認識が「ぱちんこ業界は射幸性の高い旧規則機の撤去をしない店がかなりあるようだ」という、間違った理解になってしまう懸念がある点ではとても課題の多いテーマだと思う。だが、一方で、21世紀会決議の遵守率については、3月を境に撤去店が増えていることがホール4団体の誓約書確認機関によって示されていることから遵守率悪化トレンドは終わり、高い遵守率で推移していくことが固まったようにも思う。
具体的には昨年の凱旋については遵守率はとても高い状態であり、今年に入ってからの沖ドキの撤去状況が遵守率悪化要因となっていた。昨年12月、今年3月の全日遊連の臨時理事会は栃木、茨城の理事の主張と全日遊連執行部の方針との齟齬によるものであるが、最終的に3月の定例の理事会で辞任勧告、そして栃木、茨城の両理事も自店における撤去を約束するという帰結を見ている。理事の辞任勧告の取扱いについては全日遊連が決めることであり業界ウォッチャーとしての私の立場からは業界動向ということもない気もしているが、全日遊連定例理事会の影響もあってか3月の遵守率が改善しているのは業界動向としても重要であり、望ましい方向に近づいている。
とはいえ、愛知と岐阜において、沖ドキの未撤去店の数と設置台数の多さが際立ってくるという状況になってきた。既に岐阜県遊協はこのほど新理事長に交代したが新執行部のもとで決議違反組合員店舗の資格停止処分に踏み切ったのも3月のことである。中部地区は歴史的に30φ系の客の支持がとても強い地域であるから、そういう地域において大量の沖ドキが残存していると決議遵守している競合店への悪影響は甚大となりがちだ。栃木と茨城のケースは、それぞれたしかに遵守率が悪く誓約書確認機関による全機連への通知店舗数も多かったが、それはそれぞれの遊協理事長(全日理事でもある)の考え方等によるものであり、3月の全日遊連定例理事会を境に状況が改善している。しかし愛知と岐阜のケースはこの例ではなく、地域商圏内の非遵守店に影響されて遵守率が悪化していくというものであろう。これについてもホール4団体なり業界6団体なりにおいて、3月の傾向として明らかな重要課題ということで共有されており、4月以降の推移が注目される。