今爆発的に参加人口を増やすポーカーゲーム「テキサスホールデム」をご存知だろうか。このポーカーは、ディーラーから配られた2枚の手札と、コミュニティカードと呼ばれる共通カード5枚を組み合わせてプレーするといったゲームで、今や「ポーカー=テキサスホールデム」と言われるほど主流となっている。
1980年代から徐々に普及された「テキサスホールデム」の大きな転機となったのは2003年。世界大会のひとつ「WSOP(World Series Of Poker)」で、オンラインから参加した無名のアマチュアプレイヤーがそのまま優勝し、賞金250万ドルを手にするといったアメリカン・ドリームが全米を騒がせ、一大ブームを築き上げた。
そして2012年。同大会で日本人が初優勝を飾ったことをきっかけにメディアが注目し、若年層や中高年層を中心にポーカーが浸透し始めたようだ。国内では「AJPC(All Japan Poker Championship)」をはじめとする様々なトーナメントが数多く開催されており、参加者数も年々増えているという。
そこで今回、「内閣府認証NPO法人 日本ポーカー協会」を訪れ、芹田宅生理事長にテキサスホールデムの実態について話を伺った。
──まず貴協会が主催するトーナメントについて教えて下さい。
芹田 「夕刊フジ杯ポーカー王位決定戦」と「POKER甲子園」です。主催はしていませんが大きな大会として他にも「AJPC」や「JOPT(Japan Open Poker Tour)」「ポーカーグランプリ」等があり、「AJPC」は2007年から毎年実施している特に大きなトーナメントです。参加費は無料、プライズ(賞金)は協賛スポンサーが提供しています。
──ちなみに今年の「AJPC」の盛り上がりはどうでしたか?
芹田 今年は予選形式を止めて、全国60店舗からの選抜プレイヤーとオンラインでの選抜プレイヤー、そして海外を含むAJPCからの招待プレイヤーが一堂に会し、テーブル81台、ディーラー100人超、参加人数1,031人のイベントとなり盛況でした。店舗での選抜戦やオンラインの延べ参加人数は1万人を超えていると思います。「POKER甲子園」も2012年に始まった当時に比べると、参加者は年を追うごとに増加傾向にあります。
──トーナメントに出場するにはどのようなステップを踏むのですか?
芹田 トーナメントによって異なりますが、プレイヤーはオンラインや競技場、アミューズメントカジノで腕を磨き、予選で勝ち残った人達が決勝戦へと進みます。そこで入賞すれば海外のトーナメントに出場できる権利を得られるのです。
──海外トーナメントのエントリー費用も高額だとか?
芹田 「WSOP」は優勝賞金が10億円と破格ですからね。今平均とされているエントリー費用が100万円ですが、それに加えて渡航費や滞在費もかかってきます。
それらの渡航費用等を領収書精算という形で弊協会がサポートすることで、多くの日本人が海外で活躍できるようになりました。
──遊べるお店は国内にどれほどありますか?
芹田 全国に約200店舗あると言われています。主に、非営利団体が場を提供する競技場、風適5号営業のアミューズメントカジノ、酒類提供営業のアミューズメントバーの3つに分類されます。プレイヤーが近隣のお店を検索できる総合ナビサイト「ポーカーナビ」も近日オープン予定です。
──今こちらで取材させて頂いている場所は「競技場」に該当する所ですね?
芹田 そうです。こちらの「コーナーポケット」は、子供から大人まで楽しめる場で、プレイヤーの成績もデータ化し、ランキングなどをプレイヤー間で共有しています。プレイヤーは一度施設使用料を払うことで何時間でも滞在できます。場所によって営業時間や利用料金が異なりますが、飲食物を提供しないため24時間営業も可能です。
──競技人口も増えているようですね。
芹田 3年前は1万人ほどでしたがそこから爆発的に増加し、今春の時点で約10万人と把握しています。日本にカジノがオープンする頃には、100万人に到達するのではないかともいわれています。
──来店する年齢層や男女比はどうですか?
芹田 40代が多く、東日本と西日本で客層も変わってきます。男女比率は9:1で圧倒的に男性が多いですね。世界的に言えることなのですがトーナメント会場では女性が差別されやすいという問題もある為、レディーストーナメントやシニアトーナメントといったものを別に設けたりしています。
──海外のカジノでも遊べるようですが?
芹田 アメリカが発祥ということもあり、ロサンゼルスの「カマース」は120台も設置するなど規模は一番大きいです。マカオでは中国政府がポーカーを排除しようとする働きかけが強い為、遊べるカジノは2つに限られています。
──オンラインカジノではどうですか。ポーカーゲームで賭けて遊ぶ場合は賭博罪に抵触するのでは?
芹田 オンラインカジノと同じく、海外のカジノで認可を受けた企業が、海外にサーバを置いてオンラインポーカーをさせること自体に違法性はないものの、そのサイトで日本人が日本国内で遊んだ場合、賭博罪成立を含め違法性があるかどうかはグレーです。
また、チェス・将棋・囲碁などの世界では「AI」の進化発達のため、もう人間はコンピュータに勝てない時代に突入しています。ポーカーの世界でも全く同じことが言われており、AIの飛躍によりオンラインカジノ、中でも「ポーカー」は今後オンラインゲームとしては成立しない時代が遠からず来るだろう、と業界内では言われていますね。
──なるほど。となると、直接「人」と競うリアルポーカーが主流になってくるのですね。
芹田 コミュニティの場としてお互いに情報を共有し合えますし、海外で活躍することが目的のプレイヤー達は仲間意識も非常に強いです。日本人はスキルもある人が多く、ポーカーに向いていると思いますよ。
──我々の業界にもホールやメーカーなど数々の団体があるのですが、貴協会としての大きな特徴、役割などがありましたら最後にお聞かせください。
芹田 弊協会は、IFP(ポーカー国際連盟)とIFMP(The International Federation of Match Poker)に所属する唯一の団体です。その為、IOC(国際オリンピック委員会)がマインドスポーツとして認めるポーカーの日本代表を選抜することができ、今までも多くの選手を送ってきました。
今後もポーカーの健全な普及活動を推進しながら、海外における日本人の活躍を全力でバックアップしていきます。
──貴重なお話をありがとうございました。
内閣府認証NPO法人 日本ポーカー協会(芹田宅生理事長)
日本ポーカー協会は、ポーカーのために政府が認める唯一の組織であり、非営利組織として2010年4月に登録。ポーカーゲームを広く日本文化に広め、日本人プレイヤーが海外のイベントでプレーするためのルートになることを目的に設立され、日本国外のトーナメントのサテライトとして機能する多くのトーナメントを開催している。