ダイコク電機㈱(大上誠一郎代表取締役)は7月11日、都内文京区の東京ドームホテルで「DK-SIS白書2019年版-2018年データ-」の発刊記者会見を開催。2018年のホール業界の市場規模は総売上20.7兆円(前年比7,000億円減)、総粗利3.38兆円(同1,400億円減)で、総売上、総粗利の減少傾向に依然として歯止めがかからない状況が続いている。
記者会見の冒頭、主催者の同社・大上誠一郎代表取締役は「業界は厳しい状況が続いている上、秋には消費増税が予定されている。また、年末までに約18万台のパチスロが認定切れを迎えるにもかかわらず、型式試験の適合率は低いまま推移している。こうした中、2021年2月に全台が新規則機に置き換わる未来をどう予測し、どの分野にどれだけ投資していくのか。この白書を参考にしてほしい」と挨拶した。
続いて、DK-SIS室の片瀬宏之室長が、DK-SISの有効データ台数の増加に伴い、DK-SIS白書2019年版では業界の総粗利と総売上の算出方法の見直しを行ったと報告。その上で白書の要点を解説した。
SISホール企業の業績平均値をもとに推計した全国ホールの業績(平均値)は、アウト(稼働)がパチンコ12,200個(前年比180個減)、パチスロが7,098個(同80枚減)、台売上はパチンコ11,400円(同100円減)、パチスロが18,100円(同200円減)、台粗利はパチンコが2,010円(同増減なし)、パチスロが2,700円(同110円減)、店舗平均の台粗利2,280円(同30円減)となった。
業績推移は、パチンコが横ばいだったのに対して、パチスロは下落傾向が続いた。会員ホールの4円パチンコの業績(平均値)は、アウト14,390個(前年比270個減)、稼働時間2.89時間(同0.05時間減)、売上21,469円(同254円減)、粗利3,286円(同34円減)、時間売上7,430円(同50円増)、時間粗利1,140円(同10円増)。
この5年間、アウト・粗利は下落が続いているが、2018年の下落幅は小さかった。片瀬氏は「ただ、台数シェアが57%と4円パチンコの中心のハイミドルはアウト、売上、粗利のいずれも明らかに悪くなっている」と指摘。今年1~6月の4円パチンコとパチンコ全体の業績もアウト、売上、粗利が昨年を下回っているとして、「パチンコの長期下落傾向に歯止めがかかったわけではない」との見方を示した。
パチスロは、20円パチスロの会員ホールの業績(平均値)がアウト8,814枚(前年比179枚減)、稼働時間4.45時間(同0.09時間減)、売上24,543円(同1,014円減)、粗利3,382円(同254円減)、台売上5,510円(同120円減)、時間粗利760円(同40円減)。片瀬氏は「パチスロだけを見れば落ちているが、パチンコと比べれば非常に良い。今のホールはパチスロが支えているといって過言ではない」とした。
また、20円パチスロの時間粗利が前年比40円減だったことに注目。一方で、2018年はパチスロの販売台数が43万台と2017年の40%強も少なかったことに触れ、「入れ替えない分、既存機で還元するという姿勢が見てとれる」と説明。20円パチスロは2019年1~6月のアウトが昨年より約300枚伸びているとして、旧基準機撤去問題はあるものの、今後もパチスロがホールをけん引していくだろうと話した。
「DK-SIS白書」は、同社製のホールコンピューターを通じて得られる全国ホールの営業数値をもとに、ホール営業に関わる各種統計データ(DK-SISデータ)をまとめ、年に1回、書籍化したもの。DK-SISの会員数は3592、データ送信遊技機台数は約147万台(いずれも2019年3月末時点)で、市場全体(約430万台)の34%となっている。今回、データ送信遊技機台数が市場全体の設置台数の1/3を超えたこと、DK-SISデータと全国平均データとの乖離幅が小さくなったこと、さらには年間営業日数が変化したことなどから、市場規模の算出方法を見直し、関連数値を2012年分から上方修正することとした。