余暇進(笠井聰夫代表理事)は11月9日、都内港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイで、平成28年度秋季セミナーを開催。その席上、警察庁保安課の津村優介課長補佐が行政講話を行った。
同課長補佐は、パチンコ業営業の健全化を進める上で特に必要であると考えることとして「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の撤去」「遊技機の流通における業務の健全化」「射幸性の抑制に向けた取り組みの推進」「一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動」「のめり込み問題を抱えている人への対策」「ぱちんこ産業の現状」の6点について言及。
このうち「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の撤去」については、「8月の撤去期限については業界が飽くまで自主的な目標として定めたものであるのに対し、年内撤去は警察が要請したもの」と述べ、検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の年内の撤去が完了しない場合は、警察として厳しい措置を執るという姿勢を示した。
以下、行政講話の全文を掲載する。
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↓↓講話全文↓↓
ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課課長補佐の津村でございます。本年8月に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、一般社団法人余暇環境整備推進協議会の平成28年度秋季セミナーにお招きいただき、ありがとうございます。また、業界の皆様には、平素から、警察行政の各般にわたり、深い御理解と御協力を賜っていることに対しまして、この場をお借りして御礼申し上げます。
さて、本日は、ぱちんこ営業の健全化を進めていく上で特に必要であると考えることを何点かお話ししたいと思います。
最初に、検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の撤去についてお話しします。
この問題の経緯については御承知のとおりですが、昨年11月に当庁から貴団体を含めたぱちんこ営業者関係5団体に対し、検定機と性能が異なる可能性のある遊技機について、可及的速やかに撤去をするよう要請したことを受け、本年1月、14団体の連名により、業界を挙げて当該遊技機を可及的速やかに回収・撤去を行う旨の声明の発表がなされたところであります。
その後、日本遊技機工業組合から、本年2月、3月及び6月の3回にわたり、合計138型式約73万台が回収対象遊技機として発表され、各営業所に設置されたそれらの遊技機の撤去が進められていると承知しております。当庁としては、年内に撤去対象遊技機が市場から無くなるよう要請しており、業界としてもその完遂に向けて努力していただいていると考えておりますが、今後の進捗は必ずしも楽観視できるものではないと懸念しています。
これから述べる内容は、本年6月の当課長の行政講話でお伝えしたことであり、また、先日の9団体連絡会議でも引用してお話ししておりますが、年内撤去の完遂に向け、残り2か月を切った現時点において、しっかり認識しておいていただく必要があることですので改めて述べたいと思います。
著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置して営業することについて、風営適正化法違反となることは言うまでもありませんが、仮に製造業者が出荷段階でそのような遊技機に該当する性能変更に関与していたとしても、営業者がそのような遊技機を設置し続けることは、営業者として風営適正化法違反となる行為です。製造業者の関与があるからといって、営業者の風営適正化法上の責任が免責されるわけではありません。
検定制度上、検定を受けた型式どおりの遊技機を設置することが求められていることからすると、撤去対象遊技機をそのまま設置し続けることは、制度上許容されていないばかりでなく、極端な場合には、風営適正化法が禁止する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置していることにもなりかねません。
しかし、事ここに及んでも、撤去対象遊技機の設置にこだわる一部の営業者が入替えに躊躇している状況があることは極めて残念であると言わざるを得ません。
以上の内容を繰り返し、お伝えすることの意味は理解いただけると思います。警察としては、現在、業界を挙げた撤去の進捗状況等を注視しているところであり、その状況等に応じて必要があれば、所要の措置を講じることとなります。
業界の中では、年内に撤去を完了しなくとも警察が厳しい措置を執ることはないというような見解が一部にあると聞いています。この点、8月の撤去期限については業界が飽くまで自主的な目標として定めたものであるのに対し、年内撤去は警察が要請したものであることをよく理解していただきたいと思います。
この問題は全国紙でも取り上げられるなど、世間の関心や問題意識も非常に高いものであって、また、これを踏まえて業界が社会に向けて対応を公に約束した以上、業界が、自主的に決めた対応をスケジュールどおりに、かつ、責任を持って完遂しなければならないことを、ぱちんこ営業に関係するお一人お一人が強く認識していただきたいと考えています。
現状は楽観できる状況ではありません。
年内撤去の完遂に向けて、ぱちんこ営業者、製造業者、販売会社等、ぱちんこ営業に関係する方全てが、業界のためという広い視野に立って、年内撤去を完遂するために何が必要で、自分たちの立場ではどこで協調し、汗をかかなければならないかを検討し、これをそれぞれの第一線にまで浸透させ、文字どおりー丸となって取り組まなければなりません。もし、この問題が業界の力のみで解決できない場合は、業界の信用は著しく毀損されるものと考えられます。業界が、信頼を切り売りして目先の利益のために対応を安易に先延ばしするのであれば、その分、国民の支持を前提とするはずの大衆娯楽という地位から離れていくこととなるでしょう。
警察が措置を講じなければならない事態になることのないよう、業界を挙げた取組によって撤去・回収が確実に行われることを期待しています。