ホール企業の株式公開をテーマに公開セミナー/PTB

ホール経営のコンプライアンス及びコーポレートガバナンスを第三者の立場で評価し、ホール企業の株式公開の実現を支援する事業を行う一般社団法人パチンコ・トラスティ・ボード(略称:PTB/佐藤公平代表理事)では、7月28日、都内中央区のフクラシア八重洲でPTB公開セミナー「なぜPTB会員が香港証券取引所に株式公開出来るのか?」を開催。ホール関係者など計66名が出席した。

ホール企業の株式公開と言えば、今年5月15日、PTBの社員会社でもある王蔵㈱(山本勝也代表取締役)を傘下に置く持株会社Okura Holdings Limitedが香港証券取引所への株式上場を実現させたことが記憶に新しい。王蔵㈱は長崎県に本社を置き、「ビッグアップル」「ケイズプラザ」「モナコ」等の屋号で九州ほか、関東や関西、中国で計18店舗のパチンコホールを展開する。

Okura Holdings Limitedが香港証券取引所で発行した新規株式は1億2,500万株で、資金調達額は7,400万HKドル(日本円にして約10.5億円相当)に上る。調達した資金は九州地方の新規出店費用や、既存店舗の改装や設備強化、運転資本等に使用する予定であるという。

王蔵㈱では2014年秋頃より香港証券取引所での株式公開を目指そうと決意し、同年12月、PTBへ加盟。PTBには既に香港証券取引所への上場を実現した㈱ダイナムジャパンホールディングスと㈱ニラク・ジー・シー・ホールディングスが加盟しており、両社の経験、前例、蓄積されたノウハウが、王蔵㈱の株式上場を後押しした。王蔵㈱では2015年5月にPTB評価調査を受け、株式公開を目指す上での課題を把握。その後の約1年で課題を克服し、株式公開が出来るレベルまで経営体制の改善に努めた。その結果、王蔵㈱はPTB加入後2年5カ月という短い期間で香港証券取引所への株式公開を実現し現在に至っている。

当日のセミナーでは、上記の経緯説明のほか、PTB評価委員会の委員5名による討論会が行われた。

討論の中で永沢総合法律事務所の永沢徹弁護士はホール企業3社が香港証券取引所へ上場申請する上で論点となった点について、①3店方式②マネーロンダリング③パチンコ事業に関する一般的質問④パチンコ業界の需要減少及び将来の事業の発展性⑤カジノ法案の動向及びパチンコ業界への影響の5点を挙げた。

同氏はこの中で一番大きな点は「3店方式」だといい、「日本でも様々な議論があり、必ずしも適法とは言えないなかで当然、香港でも最大の争点となった。ただし、問題をクリアするための基本的な枠組みはダイナムさんが上場するときに出来上がっている」と話す。その枠組みは「ホール、買い取り業者、卸問屋で依存性がなく、それぞれ独立性があること」「賞品に市場価値があること」「買い取り業者からホールに還流していないこと」とし、「ダイナムさんやニラクさんに比べて、王蔵さんは企業規模も小さく、上場への準備も当初は若干足りなかったが、結果として上場できた。大手企業じゃなくてもチャンスがあるという非常に良い前例となった」と述べた。

PTB評価委員会の委員5名による討論会の様子

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