全日遊連が1月22日に開催した全国理事会において、警察庁の永山貴大保安課長が行政講話を行い、業界の取組みについて、各種ガイドライン、のめり込み・依存防止対策、不正防止対策、業界の社会貢献活動を挙げ、見解を述べた。
–講話全文–
ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課長の永山です。
皆様方には、平素から警察行政の各般にわたり、格別の御理解と御協力を賜っておりますことに対しまして厚く御礼申し上げます。
昨年は、1月1日の能登半島地震に始まり、2024年問題や改刷等、社会情勢の変化への対応に御苦労された一年であったかと思います。こうした中、業界においては、昨年打ち出された「遊びの力で心を元気に」というパーパスの下で、様々な取組を積極的に続けているものと承知しております。警察庁としては、引き続き業界の前向きな取組を踏まえながら、各種行政をしっかりと進めていきたいと考えております。
さて、本日は、この場をお借りいたしまして、業界の取組に関し、何点かお話をさせていただきます。
まず、各種ガイドラインについてです。
業界においては、一昨年以降、広告・宣伝、賞品交換及び貯玉・再プレーシステムに係るガイドラインを策定され、その後も、補足文書やQ&Aを発出するなど、内容の拡充等に向けた取組を進められました。これらのガイドラインについては、その活用を図ることで、より多様な営業の実現が可能となるものであると承知しております。
他方、ガイドライン策定後の是正勧告事例として、あえてガイドラインをすり抜けようとしているものやガイドラインの趣旨を逸脱しているものもみられるところです。
言うまでもなく、ガイドラインは、業界の自らの意思で策定された自主規制であり、全ての営業者がその趣旨を理解し、遵守を徹底することはもちろん、違反があった場合には速やかに業界内での自浄機能が発揮されることが重要です。
ガイドラインに基づいた業界の自主的な取組が営業の健全化のために機能することを示すことは、業界の今後のあり方にとっても極めて重要であると考えています。是非この取組を推し進めていただき、効果を上げられることを期待しています。
次に、のめり込み・依存防止対策についてです。
業界では、ギャンブル等依存症対策推進基本計画等に基づいた各種取組を着実に進められています。
自己申告・家族申告プログラムについては、貴連合会から未導入ホールへの働き掛けを積極的に行っていただいており、導入店舗数が着実に増加しているものと承知しておりますが、導入が進まない県もあるのが現状です。引き続き、全てのホールにプログラムが導入されるよう取組の推進をお願いいたします。また、その先には、同プログラムの利用者、特に申告者の家族等の利用拡大や店舗間の適切な情報共有といった同プログラムの実効性の確保に向けた取組も重要となってくることから、こうした観点からの取組もしっかりと進めていただくことをお願いします。
さらに、のめり込み・依存防止対策を進める上では、各地域において、精神保健福祉センター、医療機関等と連携・協力することが重要です。貴連合会では、これまで多数の都道府県で依存症対策の協議会に参画し、関係機関と連携した取組を進めているものと承知しており、こうした取組がより一層進むことを期待しています。
なお、現行の基本計画については、現在、その変更に向けた作業が進められていますが、遊技業界は、その規模からも、引き続き、のめり込み・依存防止に向けた効果的な取組を推進することが期待されています。のめりこみ・依存で困っている方やその御家族に寄り添い、のめり込み・依存に悩む人を可能な限り少なくすることは、営業の健全化において最も重要な要素の一つです。現在推進していただいている各種施策を更に深化させていただくことを期待しております。
次に、不正防止対策についてです。
遊技機の不正改造事犯や賞品買取事犯は、近年も発生しております。特に後者については、賭博との一線を画す上での根幹となる規制に違反する事犯であり、皆様方におかれましては、業界全体を挙げて、これらの事犯の根絶に向けた取組を推進していただくようお願いいたします。
この点、遊技産業健全化推進機構の活動は、業界の健全化及びそれを対外的に示すためにも欠かせないものです。機構においては、従来から各店舗への立入検査等の活動を精力的に行っているところ、警察としては、今後とも、機構と積極的に連携しつつ、その活動を支援していきたいと考えています。業界においても、引き続き、機構の活動の重要性について改めて御理解いただくとともに、積極的な協力・支援をお願いいたします。
最後に業界の社会貢献活動についてです。
業界においては、社会貢献活動の一環として、防災や災害対応のための取組、社会福祉施設への支援等、様々な社会貢献活動に御尽力されていることと承知しております。例えば、昨年1月1日の能登半島地震発生時には、ぱちんこ業界におかれましても、大きな被害を被った営業所がある中で、発災当初から営業所の駐車場を避難場所として開放したホールや、防災備蓄品を配布したホールがあったと承知しています。
こうした社会貢献活動は、地域住民の安全・安心な街づくりに寄与する取組であり、こうした活動は業界が地域に根差した営業を行っているからこそ実現できるものだと考えております。引き続き、多様な社会貢献活動がより一層推進されることを心から期待しています。
業界においては、社会情勢の大きな変化の中で、様々な課題に直面しているものと承知しておりますが、こうした課題の一つ一つに業界内で緊密に連携し、柔軟に対応していただくことが重要だと考えております。警察といたしましても、引き続き、業界との緊密かつ柔軟なコミュニケーションに努めてまいります。
結びに、本日お集まりの皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。御清聴ありがとうございました。