余暇進(佐藤正夫代表理事・会長)は9月10日、令和6年9月度の理事会・部会を開催した。約140名が参加した今回の部会では、第一部として今年6月にパチンコ・パチスロ産業21世紀会が発表した「業界のパーパス」について、同会の千原行喜副会長とマルハン東日本カンパニーの西眞一郎氏が講演した。また第二部ではパチンコ店のキャッシュレスに関する課題等について、エンパチ総研の茂木欣人氏から話を聞いた。
【第一部 パチンコ・パチスロ業界のパーパスについて~遊びの力で、心を元気に。~】
講師 余暇進 千原行喜副会長、マルハン東日本カンパニー ブランド戦略部部長 西眞一郎氏
「パチンコ・パチスロ業界のパーパス」は同会の千原副会長がその重要性を遊技産業へ提案し、形作られたプロジェクトで、西氏はパーパスの策定に際し業界内の意見を取りまとめるなどサポートに尽力した。
冒頭、千原副会長から業界のパーパス発表までの経緯と業界が果たすべき役割について話があった。千原副会長は「パーパスとは、その組織が何のために存在し社会に対し何を実現しようとしているのか、という“存在価値”を示すものである。業界は雇用30万人、そして多額な納税を行っている。未だネガティブなイメージが業界に向けられる場面があるが、エビデンスをもって真摯な情報発信に努めていきたい」、「業界の存在意義(パーパス)を念頭に業界の将来像(ビジョン)を描き、そのための使命(ミッション)と行動指針(バリュー)を持って各種取り組み(アクション)を実行することが業界には不可欠であるとの共通認識がパーパス策定により醸成できた。ただ発表しただけで実行が伴わないのではいけない。パチンコをする人はもちろん、パチンコをされない人にも『近くにパチンコ店があって良かった』と支持される産業を目指すことが業界の未来であるとの認識で行動することが大切だ」と話し、遊技産業に携わるすべての法人、関係者が高い意識を以て社会に必要とされる遊技産業を目指し取り組んでいくよう呼びかけた。
引き続き西氏からは「遊びの力で、心を元気に。」という業界パーパスの実現に向けてバリューとビジョンを持ち行動することの重要性が語られた。業界が抱える課題のひとつに参加人口の低下や若年層の参加率の低下などがある。これら課題の外的要因、内的要因を挙げた上で「パーパスとは社会課題起点でビジネスを見直し価値を提供することだ」と述べ、社会課題をCSV活動とCSR活動の両面から解決していこうという行動が求められると話があった。また業界がターゲットとするべきユーザー層については「若年層ノンユーザー」の嗜好性とパチンコ・パチスロ遊技が提供している価値の相違点に関して非常に興味深い話が聞かれた。
【第二部 キャッシュレスとパチンコ店に関する情報共有】
講師 エンパチ総研 代表社員 茂木欣人氏
社会に広く普及しつつもパチンコホールでは今なお未整備の状態となっているキャッシュレス決済について、エンパチ総研の茂木氏を招き勉強した。茂木氏からは社会におけるキャッシュレス決済の現状と、キャッシュレス導入に向けて業界が抱える課題等について話があった。
日本国内におけるキャッシュレス決済の種類と普及状況と見通し、世界との対比など政府等が公表している資料等も引用しながら現状確認をしつつ、他業種におけるキャッシュレスの導入理由と経済性について解説があった。その上でパチンコホールにあっては現状の現金管理の方法で困難が生じていないことや、キャッシュレス導入で考慮すべき点としてのめり込み対策が肝要となること、そして「ファン拡大、産業発展につながる仕組みの構築」が必要だと説明した。
また先々の問題として「遊技産業がキャッシュレス化を進めなかった場合、キャッシュレスを基軸として進んでいるコミュニティ経済圏に入れないことが最大のデメリットとなる」と述べた。現金決済をほとんどしない消費者層が増えればパチンコ・パチスロの機会創出が難しくなるほか、パチンコホール周辺の他業種や消費コンテンツとの相乗も困難となるばかりか「パチンコ・パチスロで消費される価値(娯楽性)を他サービスが奪っていく今の状況を看過してよいのか」と危機感を示した。