東京都遊協は6月19日、都内中野区のなかのZEROにて2024年度遊技場経営者研修会を開催。警視庁保安課の担当官による行政講話のほか、野田毅前衆議院議員、経済ジャーナリストで作家の渋谷和宏氏を招いての特別講演が行われた。
研修会の冒頭、挨拶に立った阿部恭久理事長は、広告宣伝ガイドラインの改正や賞品提供ガイドラインの制定、変更承認申請書類の簡素化など直近の動きについて、「一歩一歩ではあるが前に進んでいけるのは、行政のご理解と遊技産業議員連盟の先生方のご協力が極めて大きかったと改めて実感している。先日の総代会で7期目の理事長就任となったが、今後も残された課題の解決に取り組んでいく」と述べ、遵法営業のさらなる推進に理解と協力を求めた。
行政講話では、警視庁生活安全部保安課風俗営業係の今村浩一係長が業界の現状と推進すべき課題を述べた。能登半島地震における復興支援といった各種社会貢献活動など業界の取り組みを評価する一方で、健全営業として広く国民に支持されるために取り組むべき点として「適切な広告宣伝」「のめり込み・依存防止対策」「ぱちんこ遊技機等の認定申請」「暴力団排除活動」「防犯対策の徹底」の5点を挙げた。特に、広告宣伝については当局に情報提供があった悪質なケースを紹介。「X上で公開した宣伝内容に設定示唆がうかがえたことから当該店舗に問い合わせると、『イベントはしてないので関係ない』と回答が返ってきた。しかし、電話連絡後に改めて確認すると当該広告が削除され、アクセスができなくなっていた。これは晒し屋が介入しているとしか思えない行動であり、知らないでは済まされない行為」と指摘し、ガイドラインや自主規制に則った適切な宣伝を促した。
研修会では、野田毅前衆議院議員が業界と政治の関わりについて、渋谷和宏氏は「激変する日本経済 輝く企業・輝く人の条件」との演題で講演した。渋谷氏は、近年右肩上がりに急成長するフルサービス型喫茶店を紹介し、成長産業の背景には定年退職したシニア層2,600万人の「強力な消費リーダー」が存在すると強調。人生の軸足を仕事からレジャーにシフトしたシニア層は、全体の65%以上の金融資産を有しており、子や孫にも楽しみを伝えるインフルエンサーとして飲食業界以外にもアウトドアやエンタメ系など、様々な分野に大きな影響を与えているとした。さらに大手金融機関「UBSグループ」を例に、顧客に寄り添い顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指す企業の取り組みを紹介するなどして経営のヒントを伝えた。