京都府遊協青年部が経営者・店長・管理者を対象に研修会を開催

京都府遊協青年部会_研修会

京都府遊協青年部会は10月13日、京都市内の京都ブライトンホテルにて研修会を開催。当日は京遊協の営業者・管理者・店長など約70名が参加した。都遊協や大遊協、兵遊協に続いて、今回は京遊協青年部会での研修会開催となった。

冒頭挨拶に立った木下大佑部会長は「昨今のホール業界はなかなか明るい話題がない中、早野先生のお話を東京、大阪でお聞きする機会があり、我々ホール運営者の光になるようなお話だと感じ、京都でもお願いすることとした。これを機に正しいギャンブル依存を考え直していただき、今後少しでも業界が発展する力になれば嬉しい」と述べた。

京都府遊協青年部会_研修会

木下大佑部会長

研修会では都留文科大学文学部の早野慎吾教授が登壇。「社会学から見たギャンブル依存症ー正しいギャンブル依存を知るためにー」と題した講演を行った。

講演では「ギャンブル依存には医学的アプローチと社会学的アプローチがある。社会学的には“依存症といえばギャンブル“というイメージが強いが、これは政治的プロパガンダが大きく関与している。アルコールや買い物、ゲームでも、楽しいものはすべて確実に依存につながる。実はアルコール依存の方が社会的には遥かに問題は大きいが、ギャンブルがこういったイメージとなった要因は2013年の厚生労働省研究班による調査で“ギャンブル依存疑い536万人“と発表されたことにはじまる。ここからマスコミがこぞってパチンコ業へバッシングを始めたが、この調査の詳細を見ると“一生涯で一度でもギャンブル依存の疑いがある時期があったか“を聞いており、既に回復した人を除く直近1年間で、という通常の設問では2017年の調査で推定70万人だった。しかも“疑いがある人“のうち何%が依存症と診断される可能性があるのか全く報告がなされておらず信頼度がわからない調査だ」と分析。

次に射幸心とは何か、について「アンケートによると宝くじは5,000円で1億円以上の勝ちを期待している人が最も多く、パチンコは5,000円で5万円程度の勝ちを期待している人が最も多かった。単純に2,000倍の差がある」と説明。「射幸心とはギャンブルの性質を表す概念で、日本では宝くじが最も高く、パチンコは非常に低い。この両者の間に公営ギャンブルがある。また宝くじ、公営ギャンブルは負け額、勝ち額ともに青天井で上限がないが、パチンコは負けても1日に最高で十数万円、勝ち額も1日50万円に到達することはあり得ない」として、宣伝広告の規制等も含め、特別にパチンコが規制やバッシングの対象とされる現状は少しピント外れで理解し難い、と見解を述べたうえで、パチンコ業界がすべきこととして「研究者と連携し、感情論ではなく正しい依存症知識を身につけ、イメージ改善の努力を怠らないこと。またそのためには政治に対しても関心を持つ必要がある」とまとめた。

質疑応答では「パチンコにもニューカマーを取り込む方法は?」との質問に対し「まずパチンコは規制上、新台入替くらいしか宣伝ができない。現状のパチンコ広告を知人に見せた時、パチンコをする人は反応するが、パチンコをしない人には全くの無反応だった。パチンコをしない人にも魅力を感じるような宣伝を許可してもらう代わりに深入りしないよう依存症対策を徹底的に行う、といった交渉活動が必要。次に、遊技機の長期活用ができない点が大きい。命に関わる車でさえ、車検を通せば何十年前の車であっても許可され公道を走れる。パチンコ機は撤去までの期間が短すぎる。SDGsにも反している。これが改善されれば、パチンコの最も楽しかったもの、平台があってハネモノがあって、古い台、新しい台が、店ごとに全然違う台があって、といった多様性を復活でき、店ごとの魅力を発揮できる。この点も行政側にも働きかける必要がある」と述べた。

早野教授は常盤大学講師、宮崎大学准教授などを経て2012年より現職。主に言語行動の心理学的要因を対象に研究していたが、2012年頃からギャンブル宣伝広告とギャンブル依存の関係について研究を進めている。

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都留文科大学文学部の早野慎吾教授

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