ダイコク電機は7月19日、都内文京区の東京ドームホテルにて、「DK-SIS白書2023年版-2022年データ-」刊行記者発表会を開催した。2022年のホール業界の市場規模は総売上14.6兆円(前年比同)、総粗利2.38兆円(同0.01兆円増)。売上規模と粗利規模ともにコロナ禍以降は横ばいで推移し、パチンコの売上・粗利規模が大幅に上昇した一方でパチスロは大幅に下落しており、前年同様にパチスロの総売上と総粗利下落分をパチンコが補うかたちとなった。
冒頭、挨拶に立った栢森雅勝代表取締役社長は「DK-SIS白書は発刊から今年で20冊目の節目を迎えた。時代の変化を映し出す情報誌として本書は、業界外の人にもパチンコ業界が産業として認知してもらえることに役に立ったのではと自負している。コロナの影響も落ち着き、業界はスマート遊技機に移行しつつあるが、将来に残していく記録として本書をぜひお役立ていただきたい」と発刊の趣旨を述べた。
総売上14.6兆円の内訳はパチンコが8.8兆円(前年比0.6兆円増)で、パチスロが5.8兆円(同0.6兆円減)。遊技機購入費用と遊技機利益では、遊技機購入比率が約0.74兆円と30%を上回り、遊技機利益は1.64兆円と過去最低値となった。
4円パチンコの業績はすべての項目で前年業績を上回り、アウトは11,770個(前年比540個増)、遊技機1台あたりの稼働時間は2時間29分(同7分増)、売上21,307円(同2,118円増)、粗利3,268円(同343円増)と、遊技時間・粗利ともに2年連続の上昇。特に粗利は20円パチスロの約1.5倍となり、上昇率も10%を上回った。
しかし、本書の概要を解説したMG-SIS統括部プロフェッショナルの片瀬宏之首席講師は、速報値として今年の1月から6月の業績を公開した上で、パチンコの凋落がすでに始まっていることを指摘。アウトに関しては11,090個と下落し、遊技時間粗利は2022年の1,320円から1,420円と早くも高騰していることについて「遊技時間粗利の改善をしない限り、4円パチンコのアウトの回復は見込めない。すでに2023年は凋落傾向が確実に表れている状況」と危機感を示した。
一方パチスロの業績をみると、粗利はDK-SIS集計以来初めて2,000円を下回る結果に。20円パチスロでは、アウト6,556枚(前年比45枚減)、遊技機1台あたりの稼働時間は2時間54分(同2分減)、売上15,899円(同510円減)、粗利2,183円(同142円減)と、2021年と比較してアウトは横ばいも、粗利は約6%の下落となった。しかし、6.5号機やスマスロの登場により、10月以降は遊技時間・粗利ともに前年同月を上回るようになり、旧規則機の完全撤去から短期間で業績は回復傾向となっている。
DK-SIS白書は、同社製のホールコンピューターを通じて得られる全国ホールの営業数値をもとに、2022年のホール営業に関わる各種統計データ(DK-SISデータ)をまとめ書籍化したもの。DK-SISの会員数は3,257会員で、データ送信台数は141万台(いずれも2023年3月末時点)。市場全体の約40%をカバーしている。