日遊協は6月9日、宮城県仙台市若林区のJRフルーツパーク仙台あらはま研修棟で社会貢献・環境対策委員会主催の令和5年みどりのきずな再生事業「共生の森・仙台10周年記念式」を開催した。
「共生の森・仙台」は日遊協の社会貢献・環境対策委員会が、東日本大震災により被災した海岸防災林の早期復旧を目指して林野庁が取り組む「みどりのきずな」再生プロジェクトと連携し、仙台市荒浜谷地中林地区で活動を開始した植樹活動。2013年5月に活動を開始し、何もないところから1本1本、松の苗を植え、下草刈りなどメンテナンスを続け、海岸防災林として十分に成長したことから2023年3月末で返還した。
このほど当地での活動が10周年を迎えたことから、当初より活動に参加し尽力してきた会員企業33社1名(現地での表彰は24社1名)や、さいたま森林サポータークラブに感謝状を贈呈した。
式典の開会に先立ち谷口久徳東北支部長は「日遊協有志が集まって、数百年後の人たちに思いをはせてこの防災林を植えてきました。北は北海道、南は九州から、仙台まで来ていただいて、10年間という長きにわたって、みなさんのご協力のもとここまでこれたと思っております。改めて心から感謝を申し上げたいと思います」と挨拶した。
続いて林野庁東北森林管理局仙台森林管理署・石川和美氏より「仙台荒浜の谷地中林の国有林内で社会貢献の協力締結していただいたのを皮切りに、名取市や東松島市でも協定を締結いただきました。みなさまが下草刈りなどに汗を流していただいた結果、崩壊しておりました海岸林が再び立派な海岸林へと生まれ変わりつつあります」と謝意が示し、引き続き日遊協会の協力を求めた。
2008年から埼玉県の「共生の森・嵐山町」で里山づくりのサポーターとして関り、仙台でも継続協力を得ているさいたま森林サポータークラブ小室正人専務理事からは「最初は高さ20~30センチ程度の小さな苗を植えました。その当時のことを思い返すと、このあたりは何もなかったです。小さな苗木がこんなに大きくなるのかと感慨深い。あと10年もすると本当に立派な防災林になって、地元のために役に立つのかなと思っております」と挨拶した。
記念式終了後には、返還した谷地中林を視察。植樹した松の木は左右の張りだした枝ぶりも見事で、林の奥に進むのは難しいほどの成長を見せていた。参加者は植樹当初の思い出などを語りながら共生の森活動の意義を再認識していた。
午後からは名取市へ移動し、低い位置に生えている枝を整理し、より良い森林環境を作るための枝打ち作業を実施。2日目は田ノ神地区、北山地区の下草刈りを行い、午後に作業を終了。その後、震災遺構である荒浜小学校を訪れ、同校に避難した小学生をはじめ地元住民の救援が完了するまでの72時間のドキュメンタリー映像を視聴し、復興支援への思いを強くした。
日遊協では、仙台市と東松島市、名取市での防災林育成事業を継続していくとしている。