帝国データバンクは6月23日、「パチンコホール経営法人の実態調査(2022年)」の調査結果を発表した。企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)の中から、2018年から2022年において業績が判明している「パチンコホール経営法人」を抽出。法人数や売上高合計、損益について調査・分析した。
2022年のパチンコホール経営法人数は1,508社。2021年より185社(10.9%)少なく、2019年の2,000社から、コロナ禍を経て、3年間で25%減少した。また、総売上高は11兆3,660億円で、3年間で約5.2兆円の減少。年間を通してコロナ禍の影響が及んだ2020年から2021年にかけては、約3.6兆円(24%)と減少幅が急拡大した。損益状況は2019年には75%の法人が黒字だったものが、コロナ禍に突入し損益が大きく悪化し、2021年に黒字と赤字の割合が逆転してからは、2年連続で赤字法人が50%を超える状況が続いている。
なお、2022年には経営法人数が10%減少する一方で、総売上高は3%減にとどまっていることから、同社は「新型コロナの感染が落ち着いたことや、スマートスロットなどの新台リリースで顧客が戻ってきていることが要因と考えられる。顧客の引き留め、拡大を継続できるかが今後のカギとなるだろう」と分析。2022年に入り黒字法人の割合がやや持ち直したことについては、「この傾向は赤字法人の多くが廃業に追い込まれたことで割合が改善している可能性もあり、業界全体として収益改善が喫緊の課題だ」としている。
そのほか、2022年のパチンコホールの倒産件数は34件と前年(16件)から倍増したほか、「高尾」(名古屋市中川区)の民事再生、「西陣」(東京都千代田区)の廃業など有名メーカーで倒産・廃業が相次いだ。
同社は「ホール運営においては以前より『勝ち負け』が明確となっており、スマートパチンコやスマートスロットを筆頭とした新台を導入できないホールにとっては非常に厳しい営業環境といえる。引き続き、従前からの課題である集客および財務体質の改善は取り組むべき大きな柱であり、ポストコロナを迎え、時代に即した対応を素早く行うことが重要となるだろう」とまとめている。