ダイコク電機は7月7日、「DK-SIS白書2022年版-2021年データ-」刊行オンライン記者会見を開催。2021年のホール業界の市場規模は総売上14.6兆円(前年比同)、総粗利2.39兆円(同0.04兆円増)と売上・粗利規模ともに前年並みで推移したもののコロナ禍前の7割強に留まっており、依然として経営環境が厳しい年となった。
冒頭、大上誠一郎代表取締役社長は「パチスロの低迷を好調なパチンコで補う構図がはっきりと表れており、4円パチンコがDK-SIS集計史上最も辛い遊技時間粗利で推移する状況となった。業界全体が上向くためには、パチスロが規制緩和をきっかけに本来の遊技の面白さを取り戻し、一刻も早く4円パチンコに依存した構図から脱却することが重要」と話し、不透明な状況下で今後の戦略を決定する上でもDK-SIS白書を有効活用してほしいと発刊の趣旨を述べた。
パチンコ・パチスロ別でみると、売上規模はパチンコが8.2兆円(前年比1.0兆円増)パチスロが6.4兆円(同1.0兆円減)に、粗利規模はパチンコが1.41兆円(同0.16兆円増)、パチスロが0.98兆円(同0.12兆円減)と、2020年と比較してパチンコの売上・粗利規模が大幅に上昇した一方でパチスロは大幅に下落した。
2021年の遊技機購入費用は約0.70兆円とコロナ禍前の2019年と同程度になった。新規則機への入れ替えに伴い遊技機の総販売台数が前年比で23%増加したことが要因で、結果として遊技機利益は1.69兆円(前年比0.11兆円減)と遊技機入れ替え費用が店舗の利益を大きく圧迫した。
パチンコの業績はアウトと遊技時間が横ばいで推移、売上と粗利は上昇した。特に4円パチンコにおいてはアウトが約2%、粗利は約10%と共に上昇し、4円パチンコのアウトが上昇したのは4号機から5号機へと完全移行した2007年から2008年にかけて以来の13年振りで、月間業績をみても4月以降はほぼすべての月で前年の業績を上回った。一方、遊技時間粗利は前年比100円増の1,240円と上昇幅が目立つことについて、DK-SIS室の片瀬宏之室長は「過去にもこうした高騰は4号機から5号機へ移行した2007年から2008年にかけて顕著であったことから注意が必要。好調な推移に水を差しかねない懸念材料である」と警鐘を鳴らした。
パチスロの業績はアウト、遊技時間、売上、粗利とすべての指標で前年よりも減少。特に粗利については、20円パチスロの粗利が4円パチンコの粗利を下回っただけでなく、低貸しを含めてもパチスロの粗利がパチンコの粗利と逆転するなど過去最低の落ち込みとなった。片瀬室長は「6号機の主要タイプである20円AT機の業績下落が際立っている。しかし直近で、カバネリやアクエリオンなど6.5号機の登場で人気機種も変わってきており、初動のアウト支持率は300%を超えるなど今後期待が持てる可能性も出てきた。ゲーム性が向上するスマスロも控えており、パチスロが良くなることでパチンコの時間粗利を抑え業界全体が良くなっていくことが望ましい」と今後のパチスロ市場に期待を窺わせた。
片瀬室長はこの他、注目コンテンツとして新機種導入からの8日間推移データや月間業界平均値をまとめた付録も紹介し、前年と比較することでより良い営業戦略に役立ててほしいと語った。