5月26日、遊技産業未来研究所主催の未来研究会セミナーが開催された。当日は新型コロナウイルス感染拡大の影響により初めてのオンライン開催となり、およそ80名の業界関係者らが出席した。
講師は、PRCの中田藤生代表取締役(チャーリー・ロドリゲス・湯谷氏)、ユニークワークスの上田健介ゼネラルマネージャー、遊技産業未来研究所の中野忠文代表取締役、島田雄一郎代表取締役副社長の4名。それぞれ自粛中の動きや今後の運用面で求められるポイントを解説した。
まず初めに中田代表取締役は、今後高まる失業率が店舗運営に与える影響は大きいとしたうえで、新型コロナウイルス感染拡大の第2波に備えるためにも大きな課題として「キャッシュフロー(資金繰り)」の改善を挙げた。周知の通り、6月は一部のリユース機しか販売されないことからも新台に頼った営業は難しく、入替は慎重かつ財務状況をみながらキャッシュフローとのバランスをとる必要があるという。同時に、遊技客からのニーズと要求に応えるためにも安心安全のPR、安心を前提としたソフト面にも注力するなど新時代に向けた施策を述べた。
続いて、島田雄一郎代表取締役副社長は、緊急事態宣言により多くのパチンコ店が営業を自粛している中、開店していた店舗を実際に視察したことで見えてきた今後の運営課題を語った。開店していた店舗は大勢の遊技客で混みあっていたとしながらも、「店舗数が減少しても供給過多の状況は変わらない。どんな環境でも一定数打つお客はいるものの、理由がないとお客は来店しない。ホール側は来店理由を明確化しなければ生き残れない時代にきている」と警鐘を鳴らした。また5月の稼働実績推移を元に、50%を下回った特に4円パチンコの稼働率をみても常連客の減少は顕著で、今後のパチンコ機に関しては若年層をターゲットとした機械を中心に注目スペック機種の導入を図り、パチスロ機に重きを置いた運用が鍵を握るだろうとまとめた。
上田ゼネラルマネージャーは、自粛中と自粛後の実績値を公表しながら、分煙ボードの有無によって滞在時間が変わる実情や、一般と会員のカード別で集計した稼働率を解説。カード別集計は把握するだけでも営業戦術が立てやすいとし、さらに「地域に生かされている」という意識も重要になってくるという。実際に、地域に生かされている店舗の思考として「間引き(+機種移動)」「ウェルカムボード、お声がけ」「飛沫シート+マスク+距離感」の3点を挙げ、間引き営業や感染防止施策をどこよりも早く取り入れた店舗では競合店とは持ち幅が大きく異なり、安全対策を重く受け止め率先して行った結果、地域に求められる店舗を実現したようだと実例を紹介した。
中野代表取締役は、経過措置の変更で旧規則機の期限が延長になったことを受け、期限延長対象機種の規模はパチンコ機で約130万台(約55%)、パチスロ機は約90万台(約59%)であると明かし、5月20日にパチンコ・パチスロ産業21世紀会が決議した旧規則機の撤去期限を説明。主力機種の設置期限が伸びたことで生まれた時間と予算を、「新規則機の育成」に活用して欲しいと呼びかけた。