1. 再び社会から問われる「企業ガバナンス」
今、「フジテレビ」の企業ガバナンスが社会から問われています。この企業ガバナンスは日本語で「企業統治」…つまり、組織における不正や不祥事を未然に防ぎ、企業価値を高めるための施策を意味します。芸能人が起こした問題に対して、フジテレビ側の「ガバナンスの姿勢」が悪いという問題まで発展した、誰も予想していなかった「スポンサー企業の大量撤退」。一瞬で数百億以上の損失発生というリスクは誰も予期せぬことだったと思いますが、これは、決して他人事ではないと思うのです。
極論になりますが、ある日当然「パチンコファンがいなくなる」「(ファンがいなくなり)売上がほとんど消えてなくなる時」ということが、あり得ない話ではないと思うのです。何故なら「社会からそっぽ向かれている=ユーザー離反」は年々顕著で鮮明に、そしてギャンブル依存のヘビーユーザーに「経営依存」しているパチンコ業界だからです。「この不景気の日本社会」で、ギャンブル依存のヘビーユーザーは一体何人いるのか分かりませんが、メーカーもホールも今後はもっと「ギャンブルユーザー」の動向に左右されることになるでしょう。これだけ「社会と逆行」している施策を打つ業界が縮小するのは当然ですし、自然です。
2. 令和なのに、未だ「昭和型経営」を行う企業の特徴
「利他的でなく、利己的」「他がやっているから、自分も止めない」「何でも一番最初にはやらない、常に様子見(リスク回避絶対主義)」「稼働より、常に利益最優先。利益を取ってから次を考える体質」「数年先より、常に足元の業績最優先。近視眼的経営が優先される」という特徴を持つ業界は、昭和の時代のように「たった一人のカリスマ、独裁者的な経営・リーダーシップ」の方が「機能的に、スピーディーに」組織を動かせた(=過去形)から、都合が良かったのでしょう。
ですが今は2025年の令和。企業の誤魔化しは全く効きませんし、その実力も“丸裸”状態です。社会からの目線も大変厳しいのにも関わらず、です。
ここも批判覚悟で述べますが、経営者が周囲に「イエスマンばかり」並べている企業は間違いなく衰退していく、と思いますし、業界だけではありませんがまだ「ぬるま湯」組織の企業は非常に多い。「危機感はある」といっても、誰も「責任を取りたくない=判断したくない」とオーナー任せ、この労働者の「当事者意識の欠如」は日本企業の短所ですから。結果、業界も、やっていることは「社会と逆行」しているので、毎年、ファン増・稼働増という結果が出せませんよね?
この点は正直、遊技機メーカーの責任も非常に大きいのではないでしょうか。ここも厳しいことを言いますが、理由はともかく射幸性を上げて、遊技のハードルを上げてユーザーを離反させた「市場と合っていない遊技機性能の市場投入」は、結果「市場縮小という事実」が返ってきただけ、のように感じます。
業界の「大衆娯楽からギャンブル化への変化」が、社会のニーズ・要求なら問題ないですが、全くもって違いますし「分かっていても、方向性を変える気がない・変われない」なら、ジッと市場縮小していくのを待つだけです。
3. 一つひとつ、丁寧に問題解決を
さらに大きな問題は「経営陣の高齢化」問題です。さすがに70代を超えた人やパチンコ・スロットを打たない経営陣が「新機種チェック」といっても厳しいのでは?と思います。これはスムーズに事業承継・権限移譲できていない証拠ですし、後継経営者不足はこれから大きな問題となるでしょう。
スムーズに有能な若手を抜擢するような人事制度がメーカーもホールもあるのかは不明ですが、「業況悪化でリストラ優先」だと自然と競争力も落ちますし、オーナーの「カリスマ性」だけで企業を引っ張っていけるのには限界があるはずです。
業界は間違いなく衰退期…いや、それを超えて新陳代謝されて「なくなっていく」産業の一つ、と言っても過言ではありません。多くの業界関係者が危機感を持ち「(少子高齢化で)業界が衰退していく…そんなことは、わかっている」と言うのですが、結局、やっていることは「射幸性の追求」です。ホールをもっと鉄火場にし、たとえ市場縮小しても「依存の強いギャンブルユーザー」にターゲットが絞り込まれ「マニア向け産業」として成立するようにと、変わっていく…その方向性しか未来が見えません。本意ではないですけども。
もっと丁寧に、一つひとつ、順番に問題を解決していく必要性があると思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!