【寄稿】キックオフを目前にして この1ヶ月間ほど(WEB版)/POKKA吉田

今は令和7年になってからひと月ちょっとが経過したタイミングであり、全日本遊技産業政治連盟が阿部恭久(あべ・やすひさ)氏を支援表明する記者会見よりも前のタイミングで本稿を書いている。1月の1ヶ月間にいくつもの業界団体の新年会が開催され、雰囲気は既に阿部さんを中心に業界が動いている状況ではあるが、政治連盟の支援表明が本当の意味でのキックオフである。

今年は「令和7年」ということで令和7年7月7日という7が並ぶ暦がある。日工組の盧副理事長は7が並ぶ日に合わせてKIBUN PACHI-PACHI委員会としても大々的な販促広報活動を展開することを1月の段階で明らかにしている。ちょうどスマパチ限定のLT3.0他の新しい性能規制対応のぱちんこが登場するのも7月であり、販促広報活動として良いスケジュールということも言えそうだ。なお、7がつく日を何かしら自店の特日系にしているのなら、今年の7月7日はホール側の集客販促も例年以上に盛んになりそうだ。もちろん是正勧告をされるような販促ではなく、しっかり広告宣伝ガイドラインを遵守した販促を実施してほしい。また、本稿執筆時点ではスケジュールは不明だが広告宣伝ガイドラインは第3版になる予定であり、当然ながら第3版になればそれを遵守するように努めてほしい。

さて、ボーナストリガー(BT)機の適合情報が少しずつ出ており、あるいはBT機の開発状況の情報が未確認も含めてかなり登場してきたのもこの1ヶ月ちょっとの間だ。昨年のパチスロサミット2024の開会式で日電協の小林友也理事長はBT機の市場投入時期について「来年度」と明言しており、今年の4月以降のいつかということになるかと思う。日電協は現在、BT機を同時に複数機種導入して市場を盛り上げたい方針だ。スマスロが同時に3機種導入だったことを考えれば販売機種が3機種以上出揃ったらGOサインということになるのかと思ったりする。BT機は規定数の変動と固定による異なる確率設計を行ったり来たりするというものであり、ATとは全く違う斬新な性能だから、AT機とノーマルタイプの間の射幸性を実現するとても可能性のあるカテゴリになると思う。個人的には今なおゴールデンウィーク商戦に間に合えばという願望を述べつつも、今後のパチスロ市場の重要カテゴリになることはおそらく間違いないので、しっかりとした複数機種が出揃って市場を活性化させることを最優先にパチスロメーカー各社には頑張っていただきたい。

ぱちんこの方は、1月から導入の「eぱちんこ押忍!番長 漢の頂」が絶好調スタートを見せており、大都技研のスマパチの強さがあらためて浮き彫りになったと言える。願わくば元はパチスロで覇権機種をいくつも持っていた有力パチスロメーカーだったわけだから、今年はパチスロの方でも同様の成功を久しぶりに見せていただきたいものだ。しかし長い間の凋落傾向を見せているぱちんこ遊技機市場にあってスマパチ市場を牽引する「Re:ゼロseason2」と番長は、すなわち大都技研のスマパチは、現在のぱちんこ遊技機市場においてとても貴重な存在である。

また1月に登場した「PハネモノファミリースタジアムMD」が好調だ。羽根モノカテゴリはアムテックス(平和)の機種群が市場では一部で根強い支持を集めてきた。しかし他のメーカーの機種がほとんどない状態であり、アムテックス一社だけでは盛り上がりにも限界があるので他メーカーも市場に投入してほしいとずっと思っていた。そんな中、ミズホ(ユニバーサルエンターテインメント)という羽根モノの経験値が乏しいはずのメーカーから登場して導入直後から好調を続けていることは大変喜ばしい話である。私のぱちんこへの入口こそが羽根モノだった。私のような団塊jr世代は共感していただけると思うが、羽根モノは遊技のきっかけになり得る魅力をそもそも持っているのである。

1パチなどの低貸島が普及していった頃、低貸島でよく見た数千円単位の勝ち負けに一喜一憂する遊技客の姿は、あのときの羽根モノに興じていた私の姿に近い、と思ったものだ。アムテックスは実績充分であり今後も新機種の市場投入が予想される。他のメーカーもファミスタの好調なスタートを参考に、役物系、かつ、遊びやすいカテゴリとしての羽根モノの新規開発企画にチャレンジしてほしいと思う。

業界動向的には1月22日の全日遊連全国理事会。毎年恒例の警察庁生活安全局保安課の永山課長による講話が実施された。昨年11月の余暇進秋季セミナーでの兼松課長補佐の講話と比較すると課長講話の方がいくぶん表現が穏やかになっている印象がある。しかし、現在の警察庁が業界を指導・監督する上でもっとも重視している2点について漏らさず言及していることから、内容が緩くなったという理解は間違いだと考えている。

業界に対して警察庁が重視する2点とは「広告宣伝ガイドライン」と「依存対策」だ。

広告宣伝ガイドラインについては遵守徹底を旨とするのは当然として、違反があった場合は業界側の自浄作用でしっかり対応するように求めるというものである。是正勧告の件数や是正勧告を繰り返すところがあるという問題はもちろん警察庁も把握しており、業界側の対応を注視しているといったところだろうか。なお、これはあくまでも個人的な見解であるが、広告宣伝についての完全な自浄作用は不可能というのが私見である。現在までのところ是正勧告に応じなかった店舗は存在しないとのことだが、それはガイドラインの仕組み上応じない場合は行政処分に処される公算がとても高いからだ。もちろん自浄作用を最大限に発揮するべくホール4団体側は、昨年の途中から遊技産業健全化推進機構をも巻き込む形の取り組みにもっていった。それでもなお「是正勧告されて是正すればいい」と考えるところがあった場合にどうするか。繰り返したところは経営者に直接話をするなどの取り組みに運用として変化させてきているが、背景には行政処分というペナルティがあってこそ、自浄もできるというもの。この点は私は警察庁の考え方に対して異を唱える者である。

依存対策については本誌本号が発行される頃よりも少し先かもしれないが、政府のギャンブル等依存症対策推進基本計画の見直し作業が3月末までに実施される。課長講話や課長補佐講話の内容から判断するに「自己申告、家族申告PRGの運用改善と利用環境の改善と利用者の拡大」「都道府県単位など、地域との連携による対応」の2点が盛り込まれることになりそうだ。特に両申告PRGは導入率が90%を超えるような状況である。導入率がとても高いことから運用面の改善が伴えばさらにきめ細かい依存対策となるであろうから、この点は今後の業界の重要課題ということになるだろう。IR予定地の隣で春には万博が開催される。その文脈で社会的なギャンブル問題視の流れが生まれたとき、政府の基本計画に沿った業界側の取り組みは、業界を守るエクスキューズになる。

私はまだ見ぬBT機の登場を楽しみにしつつ、阿部恭久(あべ・やすひさ)氏を中心に業界が動いていくさまを注視しつづけ、私のような業界の末端からでもできることを少しでも多く実践していくつもりだ。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

-コラム
-, ,