1. 2025年は重要な決断を迫られる年に
日本の少子高齢化・多死化社会もピークを迎えようとしている現在、特に生産年齢人口の減少は近未来の社会に大きな不安を与えています。中でも社会保障財源の不足や生活困窮問題は深刻で、産業構造の転換が叫ばれています。一方、今後は労働者不足から、女性・高齢者の社会参加が増加すると考えられ、そこに多くの規制緩和やインフラ整備に向けた投資が行われると言われているため、余暇産業であるパチンコ業界もそれに適応し、新たなターゲットとして価値提供する必要があるかもしれません。
いずれにしても、今年は大きく社会が変わっていくと予測でき、ビジネス面でも大きな転換点であり、ここ数年と同じ厳しい状況の継続と言っても今までとは質が違うように思います。今年「積極的に攻めるのか?静観するのか?撤退するのか?」等、事業継続のために、さらに精度の高い戦略を打っていく必要があります。
経営陣には今、経営資源である「人・モノ・金・情報」を効率的に活用し、これから機会損失のないよう投資の「選択と集中」が求められるはずです。そのための緻密な現状把握と判断材料の入手は、情報収集の入り口ではあるものの、ここで企業盛衰が決定するような「経営の生命線」と言っても過言でなく、近年で最も力を入れるべき部分なのかもしれません。特に「お客様を知り、自らを知り、競合を知り、地域を知り、社会を知る」こと、高い精度でいち早く知ることが、重要と考えるところです。
2. そもそもパチンコはギャンブルのツールに向いていない?
年々「娯楽からギャンブル」に移行している業界ですが、そもそもスロットはギャンブルのツール(道具)に向いていても、パチンコは全く向いていません。何故なら、ユーザーは最初から「釘調整で出玉調整」しているのでは?という猜疑心を持ちながら遊んでいるところがあるので、そこに「公平感・納得性」がないからです。ここが、未だユーザーが増えずに離反し続ける部分でもあるのですが、極端に言えば「毎日同じ条件で(パチンコ機では)ギャンブルはできない」という側面があって、今後、全く娯楽やエンタメ性が感じられなくなれば、この先もユーザーからの共感は得られず、参加人口減が続くことでしょう。
実際、現在でも、ホールの新店・リニューアル・改装では「パチンコ減台・スロット増台」がトレンドですし、遊技機も「高射幸・高単価」機種が開発の中心になっています。これからも大衆娯楽・エンタメ性を捨て、ギャンブル業に邁進する業界なら、さらに、加速度的に市場は縮小していくはずです。残念ながら、業界の「ギャンブル化」が進んだ方が「ビジネス的に得」な企業・人達もいらっしゃるので、近未来の業界の進む方向性は未知数ですが、少なくても今の社会状況とは逆行した道を進んでいる点に強烈な危機感を抱いているところです。
3. もっとターゲットと提供価値を、しっかり考え意識する
この混迷の時代に、パチンコビジネスの「ターゲット選定」と「提供価値」を絞ることは大変難しいのですが、この部分を日々強く意識しないと「問題発見が遅れ、チャンスを逃す」という、前述した「機会損失」につながるリスクは周知のところです。恐らく管理者の仕事の大半はこの「機会損失減少活動」で「利益最大化」につなげることが重要ミッションのはずです。組織に、ただ「18才以上全ての人がターゲット」「提供価値はギャンブル」という意識づけでは、お店の色も特徴もお客様に伝わる効果は少ないでしょう。
よく「こういった理屈ばかりでは、業績向上にはつながらない」と反論される方もいるのですが、企業は経営理念・哲学・戦略を頂点に、提供対象・価値・方法という「店舗コンセプト」を定義づける、これがお店の個性・性格だと思います。結局、どの企業にも利益を追求する活動の根底には、しっかりとした戦略がありコンセプトがあります。そこにお客様は共感し、ビジネスは成立するので、もう一度、強く意識する必要性を考えてほしいと思います。
4. 何もしなければ、さらに業績は落ちていくだけ?
昨今、「すぐにでも業績を回復したいが、手の打ちようがない。どうすればいいか?」というご質問を受けることがあります。教科書的に述べれば、まず現状分析から入り、課題を整理するところから始めるわけですが、この段階で早々に「動けない」と、あきらめてしまう企業が非常に増えてきました。
「資金がない」「人がいない」という問題が主な理由ですが、手の打てる施策は必ずあります。もう一度、思考を前進させて、熟慮してほしいと思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!</span