1. 業界の寡占化は進行している
2024年も残り数ヶ月となりました。社会は65歳以上人口が約3,625万人と29.3%が高齢者という状態で、今後ますます「多死化・少子高齢化」は進展し、多くの産業が構造転換を迫られています。パチンコ産業も例外ではなく「娯楽からギャンブル業へ」と変化している中、より成長産業にしていくための道程は厳しいものになるでしょう。恐らく、近未来の業界も、いわば「ヘビーユーザーの奪い合い」状態であるのは想定できますし、あまりにも「新たな顧客の創造」というアプローチがないのは大きな問題です。
結果、すでに「大手ホール法人ベスト3企業」で、全国店舗シェアは約14%になっている、という事実は非常に衝撃的で、業界は深刻な「寡占市場」となっています。この「寡占市場の業界」の、何が悪いのか?といえば答えは簡単です。企業間の競争力が衰え革新スピードが鈍化し、新サービスや新付加価値が生まれにくくなる市場、ということです。
今さらですが「こうなるように」と、10年以上前から戦略を遂行し、投資し続け、成功させてきた大手ホール企業の勝利、ということに他なりませんが、まさかここまで業界全体の市場規模が小さくなるとまでは予想していなかったはずです。ここから先の未来の戦略は、また難しい経営の「舵取り」を迫られることになるのでしょう。
2. この先、近未来はどうなる?
この寡占市場のパチンコ業界、今後は色んなイノベーション(=革新)が全て大手法人に有利に働いていくと予想します。例えば遊技機開発。特に「射幸性の高さ」が目立つパチンコ・スロットですが、現在でも「買ってくれるホールが大手法人メイン」なので、仕方のない側面はあります。この大手向けの遊技機が今後も中小ホールで上手に、薄利で、長期に継続して運用できるかといえば、資金力が背景にないと続かないのは周知の通りですし、ここは疑問符が残るところです。
次に広告宣伝です。演者を呼んだ来店イベントが現在流行っていますが、必ず大手のやり方が100%成功する、というわけではありません。しかし対抗心剝き出しに「超ヘビーギャンブルユーザー」の取り合いが地域で行われていて、ここでも資金力を背景に集客力に格差がつき始めています。さらにこの来店イベントは、店舗ブランドを毀損する可能性のある「諸刃の策」ともいえますので、そこでユーザーの反感を買わないよう、どのホールでも安易に取り組むということは本来できないはずでしょう。
また、お客様が見る「パチンコ業界の当たり前」、すなわち基準・付加価値やサービスレベルが決まっていくと思います。例えば交換率・貯玉再プレイサービス等。地域一番店の取り組みに「合わせて」いかないと厳しい地域は今でも多く、自由にお店のカラーを出していくことが難しくなるでしょう。新機種の入替頻度も月初は「当たり前のように新台を大量導入」するのがパチンコ店、という地域もあります。今やそれは入替だけでは収まらず「どれだけ玉を出すか・高設定が投入されているか」の勝負になっていて、ただ入替だけを行う営業のお店は見切られています。パチンコやスロットの営業データ「スランプグラフ」等を見ながら、「ホールの営業姿勢」を瞬時に観察し、お店選びをするお客様は増えていますので、そういった「施策の打ち手(=戦略遂行力)」もまた、寡占市場では「トップ企業のやり方がスタンダード」になっていくはずです。
3. さらに変わるべき! パチンコ店!
これから「多死化・人口減少時代」に突入していくのに、変わっていかない企業は業界に関わらずなくなっていくのでしょうし、お客様が「これだけのお金を払っても欲しい」と思う、製品・商品・サービスを作れなければ企業の成長はありません。成長がなければ給料の保証も昇給も期待できませんし、ますます「成長分野・成長事業」に優秀な人材が奪われていくのも確実です。
改めて企業は「何がしたいのか?」「企業はどうあるべきか?」「どうなりたいのか?」を再考する必要があります。ただパチンコビジネスに流されるのではなく、企業・お店の意思を示し、お客様の創造を諦めず手を打っていく他ないと思いますし、「変わる・変わっていく」ことを恐れずチャレンジし続けることが重要ではないか、と考えます。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!