1. 今後、一つ一つの判断が「企業盛衰」の決定打となる、その理由
決してネガティブとか楽観的という「感情論」ではなく、パチンコビジネスの市場規模がシュリンク（縮小）することは確実で、その前提は少子高齢化による「人口減少」です。先日、2050年までに人口は約3300万人減、現在の約1/4の人が「いなくなる」推計データが発表されましたが、それは日本のGDP全体が大きく下落し、これから少しずつ世界の中でも競争力を落とす証明になるわけで、事実、そんな近未来がもう目前というわけです。
当然、パチンコ業界も厳しくなるわけですが、残念ながら「これだけ景況感が低迷しているのに、業界は遊技機を中心に高射幸追求・ギャンブル化に舵を切っている」流れが時代とは逆行しており、さらに市場縮小を加速化させている…まさにこれは本末転倒で、ユーザー離反も自業自得というのも、理解できるところです。
背景に、それだけこの数年のコロナ禍を経験した「厳しさ」からの「緊急対応的措置」だ、というのは理解しますが、その代償として市場縮小を加速させたのも事実。改めて、企業の「戦略・コンセプト」をリセットし、パチンコビジネスのこれからの行く末・展望を予見した上で、戦っていかねばなりません。ここから先の経営判断は、細かな点を含めて全て「企業盛衰」の決定打になっていく、と言っても良いでしょう。特にホールは、設備投資・新台入替を中心とした「投資判断」は、「慎重過ぎれば機会損失に、積極姿勢過ぎるとよりリスクが大きくなる」ので、より精度の高い判断材料・情報収集は必要不可欠になると思います。
2. お客様がいなければ、ビジネスにならない
最近「とにかく今、何をしたらいいのか？」という質問・意見を求められるケースが多くなりました。それだけ厳しく、重要判断に悩まれているのと同時に、近未来予測も不透明で効果的な手段が思い浮かばない、そんなストレスを内在化している業界関係者は多い、と感じます。
個人的意見ですが、悩み中の時は「基本に戻る」思考が大切で、そもそもパチンコビジネスは店舗を構えたサービス産業で「売上＝客数×客単価」が原理・原則、と回答しています。全て根本原因はお客様の数が少なくなったか？ 消費する遊技単価が下がったか？ しか理由はありません。よって、まずはそこから数字でしっかり現状分析し、本質的原因を予測し「手を打っていく」他、解決策はないはず。こういった思考プロセスを飛ばし、小手先の手段ばかりに終始すれば、その後、さらに問題を複雑化させ、結果、原因究明まで時間を要し、頭を悩ませる種になっていくわけです。
とにかくビジネスは「お客様」がいなければ、成立しません。お店を構えて商売をするなら理由はともかく、まずお客様に「ご来店」頂き、席に座って、機械に触って「遊技」してもらわない限り、始まりません。新入社員研修で話をするような基本的なことですが「手がない、何をしたら良いかわからない」という企業は、この基本部分を忘れてはいないでしょうか？
逆に「もしも自分がお客様だったら、果たして“今のこのお店の状態で遊びたい”、と思うだろうか？」という視点からでも、問題発見の糸口は見えるはず。恐らく、問題を解決しなければならないことばかりで「何をしたら良いかわからない」という質問も、きっと無くなると思います。
3. まず、生き残りをかけて、他店から顧客奪取を！
残念ながら、ここまで社会全体「景気低迷」が続くと、中長期的な「顧客の創造」という部分が希薄になるのは仕方がない面もあると思います。今は、とにかく緊急事態…生き残りをかけて緊急度の高い課題から優先して対策を考えるべきです。
まず「ターゲットをより絞る」と考えると、今、遊技している「既存ユーザー」を他店から奪取する作戦が有用です。しかし競合他店と同じ「ミラー戦略」を採用する場合、入替にせよ、出玉にせよ、資金力が決定打になるため、最初から勝負にならないケースも多い。また、ターゲットを変更するにも成果が出るまでに一定の時間を要するので緊急対策としては対策が難しいため、まずは商圏調査・競合店調査から、ユーザー動向を数値で確認した上で「採用できる戦略・投資レベル」等を列記し、計画を立案してもらいたいところです。
4. 今は緊急対応でも、顧客満足度はお店の財産！
厳しい局面は続きますが、それでもお客様の満足度はお店にとっては未来の企業成長のベースとなる財産です。その視点を絶対外さず、施策検討して欲しいですね。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ！」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず！
