【寄稿】広告宣伝の話(WEB版)/POKKA吉田

もともと、技術上の規格が定められる理系的な規制の多い遊技機性能規制の体系ならともかく、清浄な風俗環境を害するな、と言われているニュアンスに寄せまくりの広告宣伝規制をこのような枠組みにしてしまうことは少々変である。等価交換義務や貸料金上限、賞品取り揃え充実、賞品提供限度額などをすべて風営法施行規則で定義し尽くして(一部二物二価系NGという変な解釈もあるが)それで終了、とはならないのが広告宣伝規制の変わった点だ。そもそも風営法上、広告宣伝規制違反に罰則は規定されていないから、警察としては事件化することは不可能である。風営法違反に対する行政処分しか打てない違反であり、しかも前歴がなければ指示処分が大半となる緩い量定の広告宣伝規制が、なぜこのように複雑な体系をしているのか、ホール関係者は考えた方がいいかもしれない。

風営法としては罰則を規定していない違反であるから、罰則を規定している違反、たとえば無許可営業、無承認変更、18歳未満客入店、自家買いなどと比較すると「同じ風営法違反としても軽い」と考えられているはずだ。少なくとも立法上はそのように解するべきである。

が、警察及び業界を巻き込んでの今回のガイドラインも警察庁の意図が含まれているという点では警察と言っていいが、警察庁はその運用上「規制の網の目を強く張る」ことを重視していることは間違いない。これは何を意味しているのだろうか。

広告宣伝違反は、ぱちんこ営業における「悪いことにつながりやすい度合い」とでもいうか、違反の度合いによってはとても重大なことにつながりやすいと従来から考えられてきた、ということではないだろうか。少なくとも東日本大震災の年、その翌年と、次々にものすごく細かい通達を発出したのは事実である。しかも2016年12月にはIR推進法が成立し、附帯決議において依存対策推進が求められるようになると、最終的には基本法も制定され依存対策を政府あげて取り組む、ということになった。当然ながら、広告宣伝については、精確な話をすれば別なのだが、依存問題と直結しかねないということが警察庁も考える自然なことである。

要するに、現在の体系としては「法律が定めているほどには軽い違反ではないもの」が広告宣伝規制違反ということになるのだ。

また、ガイドライン制定後の通報もたくさん存在しているのは、広告宣伝規制違反まで踏み込むと「集客効果が高いと考えている」からであろう。そして実際にそのような効果があると私も考えている。つまり、「案外重い違反だけではなくて、営業上も極めて影響大なもの」こそ広告宣伝規制なのだろう。

こういうことを考えると、今後のガイドラインの枠組みの上書き変化には注目しておきたい。基本的にはガイドライン本文、質疑書、Q&Aがそれぞれ上書きされ続けて良い状況に落ち着くというのが理想だ。風営法や風営法施行条例や解釈基準の改正を伴わず、新通達の発出や現通達の破棄なども伴わず、営業者の自由度も増し社会に悪影響がなく、警察庁としても適切に所管していると胸を張れ、地域格差が解消される、というのがゴールであろう。

そのような状況になるかならないか、結局はすべて各ホールにおける広告宣伝の内容そのものが決める。みなさまにおかれましては、きちんとガイドラインを守ってより自由度の高い、より集客力の高い広告宣伝を常態化するべく、努力してほしいと思います。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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