ホール4団体によるパチンコ・パチスロ店営業における広告宣伝ガイドラインQ&Aの第1版が6月7日に出た。おそらく全国すべてのホール関係者に既に共有されているかと思う。6つの類型とおすすめについて、とその他という8つのカテゴリごとにQ&Aが用意されているので、Q&Aの数としては多い方と言えるかもしれない。既に広告宣伝担当者は精読している状況だと思う。
内容について述べる必要性はあまり感じていない。こういうQ&Aをホール4団体は用意しましたよ、ということを「遊技客など営業者から見た外部のステークホルダーに向けて発信する」ことにはとても意義があると思うが、みなさま方はインサイダーである。そもそもガイドラインを精読すればわかるであろう話が、各店舗ギリギリの追求合戦になったりする側面が否めず、細かいルールの明細のようなイメージで警察庁の判断も仰ぎながら作成されたものが今回のQ&Aである。細かい説明そのものが書かれた今回の文書を読んでわからないなら「Q&AのQ&Aが必要になる」が、そんなアホらしい話はない。インサイダーのみなさまは、今回の文書を理解できるまで精読するのが筋である。
さて、ここで何度も私がいろんなところで触れてきた一般論を。それは「ルールについての規定が細かくなれば、それは厳格化と解するのが普通」ということだ。今回で言えば「国民の祝日や行事の名称、遊技客への挨拶文に加え、日付、機種イラストを記載することは、広告宣伝規制に違反しない」と言われればガイドライン制定前よりも告知内容の幅が拡がったと考えることができる。が、今回のQ&Aにあるように『5月3日から5日は祝日が続くため、この期間は「ゴールデンウィーク」としての表示とします。また、ひな祭りと端午の節句は子供の行事であるため除外します』とあれば、ガイドラインだけの常体よりも幾分制限が増えていることがわかるだろう。
基本的には、今回の枠組みは「ガイドライン」本文があり「質疑書」があり「Q&A」があるという体系になっている。当たり前だが法令上は「風営法」があり「風営法施行条例」がある。また、遊協組合にもよるが「地域の自主規制」もあるし、地上波など媒体によっては独自の考査基準がある。さらには遊技機CMが解禁されたとはいえメーカー団体では自主規制を制定していたわけだ。このほか、PAAのような広告業者が定める自主規制もあったりする。
これだけ考えても実はとても複雑な体系になっている。複雑な体系であればあるほど、枠組みとしての規制レベルは強め。本来は風営法第16条の「風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない」で規制は終わり。しかし、それでは足りないということで警察庁は風営法解釈運用基準において「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法=射幸心系」というロジックを定め、別途通達発出を繰り返してきたわけだ。