そして、マカオには時間的余裕があるとの指摘も。マカオはウィズコロナへの転換を経て年初からインバウンド旅客数、カジノ売上とも急回復が進んでいるが、依然としてコロナ禍の3年間で負った痛手は癒えておらず、コロナ前の勢いを取り戻すには2~3年かかるとの見方が一般的だ。とはいえ、大阪のIRが開業するまで少なくとも6年間あり、マカオとして日本をはじめ、東アジアの競合カジノ国の状況を研究しつつ、十分な対策を講じることができるというもの。マカオの新カジノライセンスはスタートしたばかりで、期限は10年間となっている。前ライセンス期の20年余を見ても、ここから各事業者が集客につながる多種多様なハード、ソフトを次々と導入してくることが予想され、競合を引き離しにかかることも十分にあり得る。
一方、マカオでは新ライセンスのスタートと同時にカジノテーブルとゲーミングマシンの総量規制が導入されており、ゲームの種類やマシンの多様性といった点で海外勢との競争が不利になるという意見もあった。
マカオにおける報道を俯瞰すると、マカオとして日本をライバル視していることは間違いなく、競合の出現を好機に再点検と対策によるポジショニング強化を促す内容が主であった。今後も日本版IRの一挙手一投足が注視されることだろう。
■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/