【コラム】大阪のIR区域整備計画認定を受けてのマカオの反応は?(WEB版)/勝部悠人

マカオとしての最大の懸念事項は地域間競争の激化だ。マカオのカジノ売上の97%がインバウンド旅客によるものとされ、旅客ソース別統計を見ても、そのほとんどを占めるのが中国本土からの旅客であるのは明らか。近年、シンガポール、フィリピン、ベトナムといった東アジアの新興カジノ国の成長が著しく、パイの奪い合いとなっている。特に日本については、中国本土と地理的に近く、また中国人の間で人気の旅行先となっていることから、マカオにとっては危機感が強いようだ。ただし、中国は広い。東北部、北京、上海あたりの北部からはマカオより大阪の方が近いが、マカオは南部に位置し、1億人の人口を擁する広東省と陸で接している点で優位性があり、棲み分けができるとの見方もある。

次に、大阪のIR計画にはMGMが参加するが、マカオにもMGMのIRが存在する。これについては、ポジティブに受け止められているようだ。先ほど、日本は中国人にとって人気の旅行先と述べたが、中国人に限らず、世界的にも人気のデスティネーションとなっている。現状、マカオは中国本土旅客への依存度が極めて高く、政府は直近のカジノライセンス入札の重要評価基準に国際客の誘致策を盛り込んだほど。大阪とマカオのMGM施設同士でゲストを相互送客することで共存共栄できるのではないかとの期待がある。すでに新ライセンスは決定し、1月からスタートしているが、政府が公表した評価点順位のトップはMGMだった。

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