【特別寄稿】パチンコ産業の歴史⑭ 「2回ループ機」大ブームでCR機導入が加速(WEB版)/鈴木政博

2. CR機への時短搭載による高射幸化
平和製「CR黄門ちゃま2」が大ヒットした1994年、現金機でも革命的な遊技機が登場している。ニューギン製「エキサイトレディ2」だ。当時「ダブルスタンダード」とも言われ一部で問題化していたが、規則上はともかく現実的には「確変搭載機はCR機のみ」となっていた。連チャン機が禁止され、確変も搭載できない現金機に、新たに「時短」なるシステムを搭載した画期的な遊技機として登場した「エキサイトレディ2」は、全てをCR機に入替することが資金的にも難しいホールを中心に大ヒットした。この「時短」とは、確率変動がダメならということで、「電チュー確率は変動しないが、電チュー抽選のデジタル変動秒数が短くなる期間を設けて、実質的に玉が減らないようにする」というアイデアだ。通常時は2~3分程度変動しているミニデジタルを、時短中のみ即時停止にすることにより、頻繁に電チューが開き、玉が減らなくなる。ちなみに現在では、時短と呼ばれている区間においても、実際にはミニデジタルの確率も変動していて「時短」ではなく「普通図柄の確変」という仕様の機種は多いが、例えば「遊タイム到達」の場合、大当たりを経由しないので「普通図柄の確変」を行うことができず、名実ともに「時短」に突入する仕組みとなっている。

さて、この時短システムが現金機において一般化すると、 これをCR機にも搭載する動きがでてきた。1995年にマルホン工業から発売された「CRスパークシュート」は、2回ループ機ながら「通常大当たり、および確変終了後に50回転の時短」が搭載され、以降、各社から「2回ループ+時短機」が発売される。当時の規則上で最も高い射幸性となる「2回ループ・オール16ラウンド・時短100回」というスペックで登場した三洋物産製「CR大工の源さん」が発売されたのは1996年。確率は設定1で369.5分の1、設定2で405.5分の1、最低の設定3で438.5分の1でありながら、確変が終了しても時短100回以内で再度引き戻す可能性があることから、その高い射幸性が支持され、合わせて「多彩なスーパーリーチや全回転」など演出面での秀逸さもあって40万台を超える大ヒットを記録する。

ただし2回ループに時短が加わったことで期待出玉はさらに増加し、ついに「CR機の射幸性の高さ」についても問題が表面化。さらには「CR機も一定店舗数が設置済み」という市場状況も相まって、この後、CR機の射幸性にもついにメスが入ることとなる。

エキサイトレディ2

発動中は玉減りが大幅に少なくなるという時短機能を搭載し注目を集めた「エキサイトレディ2」(ニューギン製)。

CRスパークシュート

確変2回ループに加えて時短機能を搭載した「CRスパークシュート」(マルホン工業製)。
以降、CR機の標準スペックとして各社からも同様のタイプのリリースが続く。

CR大工の源さん

当時のフルスペックタイプとして大ヒットを記録した「CR大工の源さん3」(三洋物産製)。

(以下、次号)

■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

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