【寄稿】スマート遊技機ばかりになる未来像(WEB版)/POKKA吉田

もう一つのメーカーがスマート遊技機しか作らなくなるという状況についても触れてみよう。

CR機の普及の過程には花満開だけではなく、日工組の内規改定や大量の現金機の社会的不適合機自主撤去(CR機も一部含まれていたが主に現金機だった)という、かなりイレギュラーな事情があった。特に社会的不適合機自主撤去は大きなきっかけだったと思うが、それでも現金機はなくならなかった。現金機が消滅していったのはその後、2004年の規則改正「後」である。社会的不適合機自主撤去は全日遊連小野理事長(当時)が会見で「終了」と発言したのは1997年末のことであり、そこから何年も経て、ようやくなくなっていったわけだ。

スマート遊技機を作ることを優先する、というメーカーはしかしあってもおかしくはない。やはり遊技機レギュレーション上、既存機よりも優位であり開発企画自由度で既存機に勝るからだ。

しかし、遊技機メーカーのビジネスの根幹は「ホールに遊技機をたくさん買ってもらう」である。ホールがスマート遊技機ばかりを買うのなら既存機を作るメーカーは存在しなくなるが、既存機を買うホールがあれば(≒スマート遊技機の総需要台数が市場全体に比較して圧倒的多数でないのなら)、普通に既存機を作ってスマート遊技機を作って、両方販売するのがメーカーとしての立ち位置だろう。

スマスロが登場したとき、多くのホール関係者が「コンプリート機能がなければどうなっていたか」と心配したほどのデータも見られていた。実際には本稿執筆時点で最も稼働が良いのが鏡なので出玉性能最優先という市場「ではない」が、行政視点で言っても「既存機を作るな」とは言いづらい、くらいの環境にはあるかもしれない。データ管理によって射幸性管理に資するから「とにかくスマート遊技機を最優先にしろ」と行政が言うかも、という懸念も今はない。そもそも射幸性管理をしっかりしたところで依存対策に資するというエビデンスがないことを行政は何年も前から把握しているのである。

だから○○年後にはメーカーはスマート遊技機しか作らない、というルールが実施されるという可能性は低いというのが私の予想だ。仮にそういうルールを用意したとしても、ホールの総需要がそうじゃなければ、ルールは変更していくのがメーカー職域だろう。

よって、すぐにすべてがスマート遊技機になるとは私は考えていない。もちろんスマート遊技機需要は旺盛には違いないので、求めるホール法人にメーカーや設備業者がどこまで供給できるか、その総量が完全スマート遊技機市場が成立するほどになるまで何年かかるか、ということなのだろう。

これが私の予想である。

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