【コラム】マカオのカジノに外国人専用エリア爆誕!?(WEB版)/勝部悠人

推論になるが、外国人専用エリアを設けたカジノでは、減免分の一部をリベート、コンプといったプロモーション活動にも使ってくるだろう。外国人客としても大歓迎といえる。新ライセンス保有者の顔ぶれは前ライセンスと同じ6事業者だが、そのほとんどがマーケティング対象として日本を名指ししている。日本以外では、韓国、マレーシア、タイなど東アジアの名も挙がる。日本でマカオのカジノの名を見聞きする機会が多くなることも予想され、お得なパッケージなどが用意されることも期待できそうだ。

とはいえ、一朝一夕に海外客を増やせる訳ではないはずだ。東アジアだけでも次々とカジノ国が勃興し、また力をつけてくる中、地域間競争は激しさを増している。マカオは長期にわたってゼロコロナ政策を堅持し、海外との往来がほぼ断絶していたことも不利な点だ。昨年12月に事実上のウィズコロナへ急転換し、入境者の隔離検疫も撤廃となったが、周回遅れの感は否めない。今後、中国語以外の言語を操るディーラーをはじめとしたスタッフの養成(マカオではマカオ人しかディーラーになれないルールが存在する)はもちろん、これまで中国人仕様が主だったところ、グローバルスタンダードなソフト、ハード、サービスへのアップグレードなどが急務だ。課題山積ではあるが、過渡期を経てマカオの新しい景色がみられることになるはずだ。

なお、マカオのカジノはシンガポールや韓国のように、施設入口での身分証チェックは基本的にない(※コロナ防疫対策による健康申告書の本人確認のため暫定的に身分証の提示が必要となっている)。おそらく、実際の運用にあたっては、フロアの一部を外国人専用エリアとし、その入口でパスポートチェックを行うことが想定され、いきなりメインゲートから動線を分けて外国人だけを特定エリアへ誘導するようなことはないだろう。もちろん、カジノ側としては、外国人が専用エリアで遊んでくれた方がメリットは大きいため、知恵を絞って誘導策を打ち出してくるに違いないが。実際に運用がスタートした後、そういったところの状況もご紹介する機会があればと思っている。

新ライセンスのスタートとウィズコロナへの転換が奇しくも同じタイミングとなり、2023年はマカオのカジノにとって再出発、そして復活を期す重要な一年になりそうだ。

リゾートワールド

シンガポールの「リゾートワールド」カジノ施設入口に掲出されていた地元客と外国人客の動線を分けるサイネージ(資料)=筆者撮影

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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