【寄稿】老害、理想論を語る(WEB版)/大﨑一万発

このド正論が、若年層の多くには理解してもらえない。「勝ち方」を承知している上手い子たちからは、負け犬の遠吠え。遠隔だ裏操作だ言いたいだけのおめでたい層からは、苦しい業界擁護。どっちにしても若い子たちは勝つこと勝ちたいがモチベーションの主なわけで、遊ぶなんて感覚はそもそも希薄。勝てなくても面白いなんて余裕もないんだろうとは思いますが、そこに向けてのまさに老害発言なのか、暖簾に腕押しのおせっかいか、出るよ勝てるよ面白そうだよだけ言ってりゃいいのかと、未だ結構な悩みどころでもあります。

そもそもが道理を弁えたような「立派な若者」は、いいお客様にはなってくれないわけで、そっちに誘導するような言説は邪魔だとお考えの業界人諸氏も少なくないと思います。大人びた諦観より熱狂させてこそのエンタメ産業だと言うのも間違ってはいないでしょう。しかし、いいことばっか言い過ぎた結果、裏切られたと感じたプレイヤーが離脱してったんじゃないでしょうか。その積み重ねが今、なのではないでしょうか。

パチンコに続いてパチスロも再びの高射幸性時代に突入しようとしています。次世代機の登場でさらに加速するのは間違いなく、久しぶりの明るい兆しと言えます。しかし、負ける人はもっと負けるようになる現実を前にして、またぞろ同じように耳障りが良いだけのアオリばかりを繰り返してしまうと、せっかくのチャンスも逆に作用するんじゃないか、そんな危惧も感じています。キカイとスペックは揃いつつある。玉を出さなきゃと危機感を持っているホール様も少なくないでしょう。ならば表裏なく堂々と「パチンコって、パチスロってこういうものだよ」と、リスクも含め詳らかにして勝負をしてほしい。未だ隠さなきゃいけない、先送りにしたいことがあるようなら、プレイヤー、特に若い層を増やそうなんて夢物語ではないでしょうか。青臭いですか? いやでも理想論を笑ってるばかりじゃ「次世代」なんて訪れないんじゃないの、そんなことも考えます。業界の取り組みに期待したい。

■プロフィール
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。

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