近年顕著とされる若者のリスク回避性向については、社会学的にもしばしば論じられているテーマです。識者が指摘するように、社会・時代に対する不安や不信がそうさせるのだとする論考には首肯する点も多く、若い世代が腑抜けになった(ように思える)のは、何も頼れない信じられない世の中を作ってしまった大人のせいなのだろうと、責任の一端を感じざるを得ない老害世代ど真ん中の万発です。
絶望の支配する社会が形成されてしまった今、さらには若年層のパチンコ離れが叫ばれる中で、パチンコ・パチスロのようなリスクまみれのアナログ娯楽に新規参入を促すことは可能なのでしょうか。知己の業界人と顔を合わせるたびに呻吟するのですが、価値観も思考ベースもまったく異なる旧世代の我々には有意義なアイディアなど浮かんではきません。もちろん積極的にアニメやゲームのコンテンツを取り入れ、ネットの拡散力を活用し、またアイドル店員や人気インフルエンサーの力を借りる等々、そんな台づくり店づくりはとうに着手されているわけで、その上で薄利営業と充実した遊技環境を継続しながらなお、若年層の参加を促進できていないわけです。いや、数々の施策に意味がないと言うつもりは毛頭ありません。効いているからこそ現状で踏み止まっている側面もあるのでしょうし、しかし根本的問題として、遊技者必敗の宿命を背負った、即ち収支面を基準とするならリスクしかないこの遊びは、現代若者気質の前には門前払いなのだろうとの諦観が大きいのですね。
奇特にも参入してくれた若い子にしても、徹底的にリスクを避けながら、業界にとってはありがたくない=お金を落としてくれない顧客に育っている例が多く見受けられます。勝つためのノウハウや、出してる店・イベントの情報はネットで容易に入手できます。確実に手残りのある「仕事」として打ち子に身を投じることだって、即日可能な世の中です。勝てたらいいなではなく、勝てるから「打ってくれて」いる。先日あるホールで、千円スタート22回の牙狼を「打たないっす。4のマイジャグの方がいいっす」と座らなかった若者に驚愕したのですが、彼らは5万発の夢を捨ててでも手堅い台を優先する。「いや、600超えてたら打ちますよ(笑)」と事もなげに言われてしまい、いい台掴んだと前のめりに打ち込んでいた自分がなんだかバカに思えたほどでした。