マカオは世界最大のカジノ売上(粗利益にあたるGross Gaming Revenue、以下同)を誇る都市として知られる。また、年に二度の大規模国際カジノ見本市が開催されており、アジア地域を中心に世界中からカジノ業界関係者が集結。業界の最新トレンドや技術を展示するほか、業界のキーパーソンが登壇し、カジノ業界の最新情報を共有するセミナーや今後の展望などについて討論するカンファレンスも多数用意されるなど、アジアのカジノ業界における情報、技術、人材が行き交う「ハブ」としての機能を果たし、存在感を強めている。
世界のカジノ機器メーカーにとって、マカオは大きな市場となる。実際、マカオのカジノ施設内を見渡しても、海外メーカーの機器が多く採用されている。その一方で、近年では地元マカオのメーカー、LTゲーム社がローカルニーズをうまく汲み取って開発した「LMG」と呼ばれるシステムが急速に普及したことも注目に値するだろう。
LMGとは、ライブ・マルチ・ゲーミングの略で、多元生中継型のベッティングシステムを指す。中央にゲーミングテーブル(バカラだけで複数、またはバカラとルーレット等の他ゲームの組み合わせ)があり、それを取り囲むように個人用端末が並ぶスタジアムスタイルでカジノフロアの一角に設置されている。
例えば、マカオで最もメジャーなバカラのテーブルの座席数は6〜8人分で、ギャンブラーは目の前で進行するゲームに集中するのが一般的だ。これに対し、LMGシステムは複数のテーブルで進行するゲームのライブ映像をギャンブラーの手元の端末に配信し、ギャンブラーはタッチパネルで各テーブルの映像に切り替えながら、複数のゲームに同時にベットすることができる。端末の数はスペースによって柔軟に調整可能で、100台を超えるところもある。言い換えると、1台のテーブルを100人が囲める、100人それぞれが複数台で並行展開するゲームに同時参戦できることを意味する。