【コラム】圧倒的な人気と売上シェアを誇るバカラ(WEB版)/勝部悠人

マカオではゲーミング規制当局によって運営会社ごとにゲーミングテーブル数が割り当てられている。2019年末時点の割り当て総数は6739台だった。一部、マスゲーミングフロアのみに設置可という条件付きの割り当てもあるが、どの種類のゲームのテーブルとするかは運営会社の判断に委ねられる。

総ゲーミング売上に占めるバカラの割合は87.5%

マカオのカジノにおけるテーブルゲームの種類は約20種類。ゲーム種類別のテーブル台数についての統計はないが、マカオの主要なカジノ施設を見る限り、8割以上がバカラテーブルといった感覚だ。VIPルームでは、ほぼすべてのテーブルがバカラといっても過言ではない。2019年の統計によれば、総ゲーミング売上(Gross Gaming Revenue)に占めるバカラの割合は87.5%にも達した。スロットマシンは5.2%、シクボウ(大小)は3.2%、ブラックジャックは1.0%、ルーレットは0.5%に過ぎない。なお、スロットについては約1万7000台を擁しての数字だ。

マカオのインバウンド旅客に占める中国本土からの旅客のシェアは約7割、香港と台湾を加えると9割にも上る。カジノ来場者のシェアについても概ね同様とみて差し支えないだろう。中華圏におけるバカラの人気は絶大で、カジノ運営会社はお得意様の好みに合わせてバカラテーブルをズラリと並べてお迎えしているイメージだ。

日本人にとって馴染みの深いカジノゲームといえば、ブラックジャックやルーレットではないだろうか。バカラをごく簡単に説明すると、「バンカー」と「プレーヤー」という仮想の二者による勝負で、ギャンブラーが勝者を予想するというもの。双方にそれぞれ2枚ずつのカード(トランプ)が配られ、ルールに定められた条件によって3枚目が追加される場合があり、その合計数(絵札は0、Aは1、2~9は数字通りで計算)が9に近い方が勝ちとなる。至極シンプルなゲームだ。なぜ、中華圏でバカラがそれほどまでに人気を集めるのだろうか。

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