【寄稿】激動の一か月/POKKA吉田

業界の動向というのは、時系列を見誤ると全く見当はずれの結論が導き出される。「業界が経過措置延長を要望した→警察庁が1年間延長してくれた→業界がそれを最大7か月と期限を切った」という時系列なら多くのホールが感じた不満そのものである。しかし事実は違う。「警察庁が業界の要望する1年間延長を却下→業界がそれを最大7か月に修正して要望したら許容することを示唆→業界が陳情書を出す→警察庁が冬の第二波を警戒して1年間で規則改正した」という時系列なのだから、むしろ業界6団体のトップたちには業界関係者は感謝しなければならないだろう。

店の機種構成によっては撤去計画の15%/月というのが重たくなるというケースも少しは見られる。しかしこれも沖ドキの悶着と同様でありなんとかする術はない。そもそも警察庁は「取締り猶予」という前例のある延長(昨年末までの適宜の措置や平成16年改正施行時の激変緩和措置)をせず規則改正で「合法期間を延長する」という方策を採用した。

これも政府・警察庁側の都合である。その理由は想定するに「コロナ対策で各省庁が対応策を政令改正などで対応してきた」ということで、他省庁の対応と法的な位置付けを揃える必要があったのではないだろうか。平時における業界事情の陳情ではない。コロナ禍という日本経済全体に対するダメージへの対応であり、政府の意向が働いて規則改正となることもまあ道理ではある。

業界6団体には日工組、日電協、全商協、回胴遊商が含まれている。経過措置が延長されたこの案で、おそらく直近、特に4-6期、7-9期の業績はこの4団体にとっては「損」をするはずである。しかし「ホール職域がこけたら業界すべてがこける」という認識を共有していたのだろう。直近の業績に悪影響が出る可能性があるのに4月はロビイングに勤しみ5月に陳情書に名を連ねたこれらの職域の代表者たちには改めて本稿で敬意を表したい。

あとはホール営業の活性化が最重要課題である。ようやく本丸にたどり着いた。その対応難易度は高いが、そこを最も考えていかなければならないだろう。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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