5月での椿事は、やはり経過措置延長の規則改正だろう。おそらく業界の歴史に残る出来事である。
業界6団体は連名で5月1日に警察庁小堀保安課長他に対して経過措置延長を求める陳情書を提出した。それを受けて5月14日の国家公安委員会で風営法施行規則附則が改正され20日に施行された。旧規則機の経過措置が延長されたわけである。
施行日となった20日をめぐって悶着があったのは沖ドキだ。沖ドキはちょうど施行日が各地の経過措置切れ日の狭間にあたり、ある県では既に切れていたため延長されず、ある県では切れていなかったため延長される、という事態になっている。また、シリーズ後継機の導入月も5月だったことから、かなり悶着があった。しかし、これは規則上の話であってどうにかしようにも術がない。似たようなことは一昨年の適宜の措置対象か否かでジャグで1型式あった。
もう一つ悶着的なことといえば、21世紀会の決議と規則上の延長期間の乖離だろう。規則は施行日以降に経過措置が切れる機種についてそこから一年間の延長を明記している。しかし21世紀会が20日に決議した入替計画では(来年の7月から9月を除いて)最大で7か月以内に撤去、ということになった。このため多くのホール関係者が「規則が1年延長しているのに業界が7か月に短縮するとはなにごとだ」という不満が多く聞かれることとなった。
結論から言えば、これは警察庁の方針である。そもそも経過措置延長は5月1日に陳情書を出したから実現したものではない。「4月の段階で業界6団体が小堀課長他と折衝を重ねて警察庁と業界6団体で握ったから5月1日に陳情書を提出した」のである。業界6団体ははじめ警察庁に「経過措置の1年間の延長」を要望した。しかし警察庁は「長い」と却下しているのである。そこで21世紀会の決議案の期間を再度提示したら「業界が皆できちんと遵守できるのであれば」と反応が変化した。「経過措置延長を得られる」ことが示唆されたために陳情書を提出しているのである。
警察庁と業界6団体が最大7か月で握った延長だが、国家公安員会規則が1年間としたのは警察庁や政府側の都合に過ぎない。もしも冬にコロナ第二波が到来して同じような日本社会の経済が止まるようなことが起きたときに、再び規則改正をするというのは警察庁としても避けたいということ「だけ」である。警察庁ははじめから1年間延長させることを許容していない。「高射幸性を除いて最大7か月」を許容した上で「冬の第二波到来時に再び庁内手続きを経なくて済むように1年間で記述した」のである。