余暇進が2月度部会を開催 ワンデーポート・中村施設長がのめり込み・依存問題をテーマに講演

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余暇進(佐藤正夫代表理事・会長)は2月18日、令和7年2月度の理事会・部会を開催した。約70名が参加した今回の部会は、のめり込み・依存問題をテーマにギャンブル依存に悩む人の支援施設「認定NPO法人ワンデーポート」の中村努施設長を講師に招き、「遊びの効用~依存問題に25年間向きあって~」と題した講演を聴講した。また、会員プレゼンテーションでは株式会社Greenを介し株式会社Net Time Japanが提供する「NetTimeTV」の紹介が行われた。

<講演 遊びの効用~依存問題に25年間向きあって~>
のめり込みやすく飽きやすい性格だと自身を語る中村氏は20代の乱れた生活から回復支援施設へ勤めた後、我が国初のギャンブルに問題がある人の回復支援施設「ワンデーポート」を開所。当初は入所型の施設として運営を開始したが、現在は問題を抱える原因は多様であることから、個人個人に寄り添った対応を重視し柔軟な支援を行っている。

講演では依存問題が表面化するきっかけがギャンブルであっても当事者の身体的健康、精神的健康、社会的健康が深く起因していることを、中村氏が25年間にわたり支援活動を続けてきた中で得た経験を中心に話があった。

中村氏は政府が推進するギャンブル依存症対策について、自身もギャンブル等依存症対策関係者会議の委員として参画し、政府が当初よりギャンブル依存症を病気と定義し治療を要するものと限定した政策を推進することに医学的なエビデンスもなく実態との整合性が取れていないことや、ギャンブルの存在そのものを原因とするような報道が社会の偏見を助長していると警鐘を鳴らした。

ワンデーポートでは2012年から「暮らし、仕事、余暇」の充実を支援の指針としその人にあった社会参加、就労、暮らしのサポートを始める。現在は畑作業やマラソンなどを通じて心身の健康に着目した回復施策を積極的に行っている。中村氏は「運動する気持ち良さや達成感、満足感といったものが人生の充実につながり問題行動の予防となる」と語った。ただし「指示を受けてやらされるというのではストレスであり逆効果となる」とも話し、何をすると充実するというものではなく、当事者が余暇の過ごし方を楽しんでいることが何より大切だと述べた。

当事者にはストレスにより問題行動を起こす人がいる一方で身体的、精神的な問題が見過ごされている場合もあると、様々なケースも紹介された。この中で、普通に社会で勤労していた人の場合に共通する点として「遊ぶことが苦手な人が多い」という。

まとめにおいて中村氏は歴史学者のヨハン・ホイジンガ氏やロジェ・カイヨワ氏の関連著書を引用しつつ「人生を充実させる要素として暮らし・仕事・余暇が健康にサイクルしていることが大事だと考えている。特に健康な生活を送るためには余暇の充実が重要であり、健康の視点から見た依存対策として適切な遊びが非常に大切だと考えている」と語った。

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