ダイコク電機は7月11日、都内文京区の東京ドームホテルにて、「DK-SIS白書2024年版-2023年データ-」刊行記者発表会を開催した。2023年のホール業界の市場規模は総売上15.7兆円(前年比1.1兆円増)、総粗利2.54兆円(同0.16兆円増)。業界総設置台数が減少する中、売上規模と粗利規模ともに増加し、売上規模の増加は東日本大震災以来の11年ぶりとなる。4円パチンコのアウトが過去最低を記録した一方で、パチスロ業績が大幅に回復し、全体を押し上げるかたちとなった。
総売上15.7兆円の内訳はパチンコが8.2兆円(前年比0.6兆円減)で、パチスロが7.5兆円(同1.7兆円増)。遊技機購入費用と遊技機利益では、遊技機購入費用が約0.8兆円とほぼ横ばいで推移し、遊技機利益規模は1.74兆円と前年を上回った。
4円パチンコの業績は、アウトがコロナ禍で最低の数値を記録した2020年(11,040個)をも下回り、遊技時間粗利がさらに上昇した。アウトは10,910個(前年比860個減)、売上20,632円(同675円減)、粗利3,252円(同16円減)、遊技時間粗利1,440円(同120円増)と、遊技時間粗利が2020年からわずか3年の間に1,140円から1,440円までに高騰していることでファン離れが深刻な状況となった。
本書の概要を解説したMG推進部SISプロフェッショナルの片瀬宏之首席講師は、速報値としてさらにアウトが下落した2024年上期の業績を公開した上で、4円パチンコの下落傾向は避けられないと指摘。アウトはさらに下落し、遊技時間粗利は1,470円と早くも上昇していることについて「遊技時間粗利を抑えてパチンコファンを定着させるべきと提案し続けていたが、ファンを付けようという努力をしなかったツケが2023年に回って来てしまった状況。これまで下期が上期の業績を上回ることはほぼなく、このままいけば残念ながら2024年の業績も過去最低を更新することになる」と予想した。
一方、20円パチスロの業績をみると2022年と比較してアウトと粗利が急回復し、過去最低状態から完全に脱却した。アウトは8,037枚(前年比1,481枚増)、売上21,369円(同5,470円増)、粗利2,882円(同699円増)、遊技時間粗利820円(同70円増)と全ての項目が上昇しており、特にスマスロが業績を牽引した。片瀬氏は今後の対策として「下期は高コイン単価機種がどんどん出てくるため、シェアコントロールが重要。入れ続けるのではなく、買った分を減らしていくことも必要で、機種選定と導入台数をしっかり見極めて欲しい」と語った。
さらに損益分岐割数別業績では、パチンコが10割から16割以上、パチスロが10割から13割以上の割数別で業績を公表し、「2022年と2023年のデータを見ても、パチンコ・パチスロともに損益10割営業の業績が最も良い。スタートを回すために損益を変えるという意見も多いが、特にLT機が好調な今、せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、まず組合など県全体でどう遊技時間粗利を改善するのかという目線で話し合いを進めて欲しい」と助言した。
DK-SIS白書は、同社製のホールコンピューターを通じて得られる全国ホールの営業数値をもとに、2023年のホール営業に関わる各種統計データ(DK-SISデータ)をまとめ書籍化したもの。DK-SISの会員数は3,127会員で、データ送信台数は141万台(いずれも2024年3月末時点)。市場全体の約41%をカバーしている。