【コラム】たとえまわり道でも、基本が大事!(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. もう努力だけで成長できる状況ではなくなった?
先日「実質賃金24ヶ月連続マイナス」のニュースが発表されました。この物価高に賃上げが追い付いていないことが主な要因ですが、もっと大きな問題は中小企業従事者や非正規雇用者を中心に節約志向が一層強くなり、しばらく消費不振・景況感の悪化が続く、と予想できるところです。当然、パチンコ業界も厳しくなりますし、成長できる環境要因は現在のところ見当たりません。現在、遊技機の射幸アップに向けた緩和策が多いですが、現マーケットとはニーズが異なり、これ以上の業界の「ギャンブル化」は、市場縮小が加速するだけ、と予測します。

また、ギャンブル化が進めば逆にホールは集客競争の為の安売り、いわば、もっと顧客への還元率を上げて「薄利営業」を強いられることになりますし、今よりもっと資本の大きいホール企業が圧倒的に優位になることは確実です。さらにパチンコ業界が特殊なのは、ここに「新機種の取り揃え」という要素も加味され、ますます資金力のない中小ホールから淘汰が進んでいく、これも確実な流れと言って良いでしょう。残念ですがこのギャンブル化の推進による産業衰退は「業界の自業自得」な面もあり、人口減少・少子高齢化もあって市場はどんどんマニア向けの産業になっていくと思います。

それでも「企業は?お店は?個人は?と、どんな目標をもって、どうありたいのか?」という理念・戦略を基に店舗コンセプトを定め、前進していくしかありません。重要な判断の連続ですが、何とかこの危機的局面を乗り切る為の手段を考えて欲しいところです。

2. 余裕がない時ほど、一度、冷静に考えてみる
もう何十年も前から「じゃあ、具体的に、何をすれば業績が上がるのか?」という質問は、途切れたことがありません。恐らく、余裕がない時ほど「理屈はいいから、早くやり方を!」と、気持ちが先行してしまうのでしょう。しかし、よく考えて頂きたいのが、いつの時代もどんなに繁盛店であってもお客様の信頼をすぐに勝ち得る「魔法の杖」のようなやり方はありません。よって、まずはお店の現状分析を緻密に行い、問題点を明らかにして適切な手を打つ、こういった基本である「マネジメント・サイクル」を丁寧に行って欲しいと思います。

結局、本質は基本のみで、良くお客様を観察し、問題と思う疑問点・仮説を立て、それを検証し、法則化していく、このサイクルしかなく、どれだけ丁寧にマネジメントできるか?ここが成功の鍵であると考えます。一度、俯瞰してお店を観察し、第三者的視点で問題点をリストアップしてみて欲しいと思います。

3. コツコツ続けることはお客様の観察!答えはそこにある
社会状況が変われば、お客様の嗜好・打ち方も変わり、しかも加速度的に変化していきます。そんなお客様のニーズを満たし価値提供するには前述した通り、ただ新台入替を行い還元率を上げる(=薄利営業)だけでも不足、と思います。それは、地域により年代により、嗜好は異なりますし、まず「お客様を知ってから」こそ、効果的な手が打てるというものです。例えば人気機種の取り揃えの充実等、すぐに方向転換できない施策もあるので、常に一歩先を見据えた打ち手を考えて欲しい、そう思いますね。

4. 今は緊急対応でも、顧客満足度はお店の財産!
これからしばらく厳しい局面はまだまだ続きますが、それでもお客様の満足度はお店にとって未来の企業成長のベースとなる財産です。その視点を絶対外さず、施策検討して欲しいですし、基本「原理・原則」「シンプル」がキーワード。この原理・原則というのは、いかにお客様へ価値提供できるか?になりますし、単純明快なやり方でお客様にわかりやすく伝えていくことが重要と考えます。

今後、集客競争がさらに過熱すると、品揃えである「新台入替」のサイクルの速さ・出玉還元はもちろん、従来よりも「薄利営業」を強いられることは確定的です。なぜなら、ギャンブル化が進んでいるパチンコ業界においては、ヘビーユーザーの囲い込みは必須条件になるはずで、最も良い条件を求めて回遊すると推測できるからです。

改めて、近未来の業界の状況を予測した上で、このタイミングで今一度、お店のコンセプトや戦略を再考し、場当たり的な施策に終始することのないよう、計画的に手を打ってもらいたいものです。

■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!

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