パチンコメーカー39社で構成される日本遊技機工業組合(日工組、榎本善紀 理事長)は昨年6月から、「パチンコ業界の未来創造」を目的に大正大学表現学部の中島和哉准教授のゼミと連携。学生たちと業界の集客向上を考えるプロジェクトを実施した。大正大学との連携は今回で2回目。
参加したのは、広告代理店などに就職を希望する同大学の女子大生10名(3年生)で、学生の大半はパチンコ未経験者。今回のプロジェクトには前回の大正大学とのプロジェクトに賛同した、静岡県のホール企業アシベ商事(鈴木康弘 代表取締役)が参画。集客向上を考えるモデル店として、学生の業界研究のために自社店舗を開放するなどし、プロジェクトに協力した。
昨年の6月8日、9日の2日間で学生たちは、アシベ商事が運営する「ハッピーアシベ伊豆高原店」を視察。パチンコ遊技体験をしたほか、アシベ商事の担当者からパチンコ業界の現状や課題などについて説明を受けた。その後、伊豆高原の観光地や、伊東市役所を訪問。集客向上につながるノウハウの知見を深めた。
昨年の12月22日には、学生たちが今回のプロジェクトの集大成として、6月の「ハッピーアシベ伊豆高原店」視察をもとに大正大学内で「『ハッピーアシベ伊豆高原店』の集客向上プロモーション」の施策を2チームに分かれて発表。アシベ商事の松本竜彦総務部部長と鈴木優アミューズメント事業部副主任も学生の提案に熱心に耳を傾けた。
A班は伊東市の若年層(20歳~35歳)が、市の人口に対してたった9%と極端に少ないことに着目。今後、地元住民にフォーカスしても大きな集客は見込めないと判断し、訪日外国人観光客の取り込みについて、「初心者向け解説動画・ガイドブックの外国語対応」「外国語表記の遊技機の開発」「観光ガイドブックへの掲載」といった具体的な施策を提案した。
B班はパチンコ体験時に感じた業界に対する課題として、「若者に刺さる台がない」「台のデザインが男性向き」「専門用語が多く初心者には分からない」など、パチンコ初心者にとってのハードルの高さを挙げ、「地元住民に利益還元」をコンセプトに、若年層と地域住民がパチンコとの接点を図る「パチンコ無料開放キャンペーン」の実施を推奨した。
プロジェクトに参画したアシベ商事の松本総務部部長は「今回の提案の中で、伊豆半島という観光地での地域性を考え、外国人向けのプロモーションの意見が多く上がりました。入店していただく流れ、入店後の案内対応などオペレーションを再度考えるきっかけにもなった」、鈴木アミューズメント事業部副主任は、「初めてのパチンコ体験をもとに伊東市の観光や人口問題と紐づけて店舗の顧客増加について考えていただきありがとうございました。パチンコを観光として捉え、訪日外国人観光客向けに情報発信する観点は、自分にはなかったので新しい感性だと思いました」とそれぞれ感想を述べた。
また、日工組は「学生との共同プロジェクトを通して、若年層が抱く業界のイメージや問題点、さらに新規ユーザー獲得のための若者に刺さる効果的な施策を具体的に知ることができた。今回得た知見は、遊技人口の減少が問題視されている遊技業界にとって、課題解決の一助となる可能性がある。組合では引き続き、さまざまな取り組みを通じて業界を盛り上げていく所存です」とコメントしている。