ユニバーサルエンターテインメントは9月16日、同社の元取締役会長・岡田和生氏(以下、岡田氏)との裁判において、岡田氏による上告が棄却されたと発表した。
同社は2017年11月27日付けで、岡田氏に対する損害賠償請求訴訟を提起。2020年2月13日、東京地裁より同社の主張を全面的に認める判決が言い渡され、岡田氏に対して、(1)2,129万3,712円およびこれに対する2017年12月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払い、(2)訴訟費用の負担、が言い渡された。※(1)の判決については仮執行宣言が付いた。
この判決を不服とした岡田氏による控訴についても、2020年9月16日、東京高裁より同社の主張を全面的に認め、岡田氏の控訴を棄却する判決が言い渡された。この判決について岡田氏は、最高裁に上告および上告受理申立てを行っていたが、最高裁は2021年9月15日、岡田氏による上告を棄却し、本件を上告審として受理しない決定を下した。
これにより本件については、同社の主張を全面的に認める内容の判決が確定した。
同社は、同社が設置した特別調査委員会の調査の結果、岡田氏が以下の3件の不正行為(以下、本件不正行為)を行った事実が明らかになったことから、東京地裁に損害賠償訴訟を提起していた。
(1)2015年2月から3月にかけて、岡田氏が同社元取締役管理本部長の関与の下、同社の完全子会社である香港法人Tiger
Resort Asia Limited(以下、TRA)から、第三者と密接な関係にある外国法人に無担保、無利息で1億3,500万香港ドル(当時の為替レートで約20億円)の貸付けを行わせた。
(2)2015年5月11日、岡田氏はTRAの経理担当者に指示をして、1,600万香港ドル(当時の為替レートで約2億円)の小切手を作成させ、これに署名して振り出した。
(3)TRAの完全子会社であるUniversal Entertainment Korea co.,ltd(以下、UE韓国)が、韓国のカジノリゾートプロジェクトの土
地購入について交渉していたところ、土地購入の事業主体をUE韓国からOkada
Holdings Limited(以下、OHL)の完全子会社Okada Holdings Korea co.,ltd(以下、OHL韓国)に変更し、OHL韓国が韓国の土地を購入するための頭金を捻出するために、UE韓国の預金を担保として
提供させ、OHLに8,000万米国ドルを借り入れた。また、その利息及び手数料に相当する17万3,562.23米国ドルを実体のない経営コンサルタント料等の名目でOHLからUE韓国に請求し、OHLに対し同額を支払わせた。
また、岡田氏が、特別調査委員会が本件不正行為について指摘する内容の調査報告書を作成して同社に提出した行為および同社が匿名処理を施した調査報告書を開示した行為等について、名誉を棄損されたとして、同社らを被告として提起していた損害賠償請求訴訟についても、東京高裁は9月15日、岡田氏の控訴を棄却する判決を言い渡した。