映画「13日の金曜日」が公開された1980年は私も小学生だったこともあり、当時の記憶は「アイスホッケーマスクを被った男が斧でキャンプ客を襲う怖い話」くらいしかない。ただしその「ジェイソン」のインパクトは絶大で、そのキャラクターは現在でも非常に知名度が高い。40年の歴史を経てパチンコ機として蘇る今回の「P13日の金曜日」は、その「最狂」イメージにマッチした「超絶変則スペック」となっている。今回はこちらの仕様について説明したい。
特図①と特図②が同時並行変動する機械はいくつか出ているが、これは主に「小当たりRUSH」仕様にする目的だ。理由は「特図②が3秒程度の変動なら毎回小当たりで増える」が「特図②が10分程度のロング変動になると増えない」ようにするため。したがって通常の台のように特図②優先消化にすると、小当たりRUSH終了後に特図②保留が消化されきるまでヘソ特図①が回らなくなってしまう。そのために特図①と特図②が同時変動している。
また小当たりRUSH機特有の「空き台が大当たりしてしまう挙動」がある。これはRUSH終了後の特図②保留4つのいずれかが大当たりを引いていると、1つ10分程度の消化後に大当たりになってしまうためだ。現在は「ゲート通過後にアタッカー開放」という仕様が多くみられるが、過去にはこの「特図②を強制ハズレ消化させる」対応をしていた機種もあった。「CR交響詩篇エウレカセブン~真の約束の地~アネモネVer.」だ。特図①と特図②が同時変動している場合、片方が先に停止した時に「当たり」を引いている場合に限り、もう片方の変動を「強制ハズレ停止」させることが規則で認められている。それは「小当たり」でもOKだ。アネモネは特図①に玉の増えない小当たりがあるため、RUSH終了後にヘソを回していれば、自動的に特図②は強制的にハズレとして消化されてしまう仕組みだった。
この「P13日の金曜日」は、これらの仕様を組み合わせて駆使した画期的なスペックだ。確変中には大きく2つの状態がある。「電サポ確変」と、玉は増えないが「小当たりRUSH状態の確変」だ。「電サポ確変」中は「特図①がサクサク消化&小当たり」するため、特図②はほぼ「強制ハズレ消化」してしまう。結果特図①でしか当たらず、その振分けは確変52%、通常48%だ。逆に「小当たりRUSH状態の確変」中は「特図②がサクサク消化&小当たり」のため、特図①の保留は全て「強制ハズレ消化」するため特図②でしか当たらないが、その特図②は「100%確変」なのだ。つまり「小当たりRUSH状態の確変」の場合、次の大当たりが確定しているだけでなく「次回の大当たりも確変大当たり」であることまで確定している状態になる。
P花満開でも実現された「2回ループ」だが、今回の仕様だと確変終了後に「時短」を搭載できるのが大きな特徴だ。加えて大当たり「オール1,000発」は今回も実現、さらに確変が50%から52%にアップしているため、その期待出玉は圧倒的に「P13日の金曜日」が勝っている。事実、最大10以下に改正された規則のMNRSを計算してみても、この機械は「9.979」というギリギリラインに設定されており、このことからもその射幸性は想像できるだろう。
今年12月には「スロット看板機種の認定切れ撤去」が控えており、ホールとしても正念場だ。集客という意味においても「独自性のあるスペック」と「射幸性のある機械」は必要だろう。先日もキャラクター「鹿目まどか」の誕生日が10月3日であることから「まどか☆マギカ」大量設置の某店に4,000人以上が並んだニュースが流れたが、奇しくもこの台の導入直後である今年の「12月13日」は「金曜日」だ。イベント規制が厳しい折、タイトル的にもファンが勝手にイメージしやすい機械であることは間違いない。年末、全国で最狂ジェイソンが大暴れすることに期待したい。
■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。
Mail:msuzuki_u3ken@ybb.ne.jp