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【コラム】カジノ都市マカオならではの新型コロナワクチン接種状況(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2021年8月26日 更新日:

特に6陣営の中では、シティ・オブ・ドリームズやスタジオ・シティを運営するメルコリゾーツ&エンターテインメント社の取り組みが注目を集めた。同社では、社員のワクチン接種がゲスト、地域コミュニティの安全につながるとし、「Get the Jab」と銘打った香港・マカオ拠点勤務の社員向けのインセンティブプログラムを導入。接種会場へのバス送迎、接種当日と翌日に有給休暇付与、接種完了で1人あたり1000マカオパタカ(約1万3700円)支給に加えて社員の接種率が一定の割合に達した段階で現金の当たる抽選を実施するというもので、最高賞金は100万マカオパタカ(約1370万円)にも上る。同社によれば、同プログラムの実施にかかる予算は約1600万マカオパタカ(約2.2億円)とのこと。5月下旬にスタートし、7月末までに対象となる社員の約65%が接種を完了したという。

マカオの同業内でも接種当日及び翌日を有給休暇とする例はあったが、現金支給や賞金を含むインセンティブを提供したのはメルコリゾーツのみ。マカオでは接種が義務ではなく、現金目当てに体調不良であっても無理を押して接種する人がいないとも限らない、ということなのだろう。他の5陣営が公表した資料でも、メルコリゾーツほどではないが、マカオの全体平均を上回る5割超の接種率となっており、一部は社員及びその家族にも接種機会を提供していた。

5月下旬から6月下旬にかけて、マカオと隣接する広東省で感染力の強いデルタ株の再流行があり、マカオへ流入するリスクも高かったことから、ワクチン接種率が急上昇。しかしながら、広東省での再流行が終息して以降、マカオのワクチン接種者数が伸び悩んでいる。現在、マカオと香港の間で隔離検疫なしでの往来に関する協議が進められており、条件のひとつにワクチン2回接種が含まれるとされている。記事執筆時点で具体的な実施日は未公表だが、これが実現すれば接種率の向上につながる可能性もある。

メルコリゾーツ_ワクチン接種推進インセンティブプログラム

メルコリゾーツの社員向けワクチン接種推進インセンティブプログラムの一環として開催された現金が当たる抽選会の様子 ©Melco Resorts & Entertainment Limited

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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