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【コラム】満期が近づくマカオのカジノコンセッションの動向(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2021年3月3日 更新日:

世界一のカジノ都市として知られるマカオ。現在、マカオ域内には大小合わせて約40のカジノ施設があり、政府と専営権契約(コンセッション)を結ぶ6つの民間事業者が運営している。

現行のカジノコンセッションは21世紀初頭に実施された入札を経て決定したもの。2002年2月の結果発表時点では3社との契約(締結順にSJM、ギャラクシー、ウィン)だったが、その後に3社のコンセッションにそれぞれ紐づくかたち(いわゆるサブコンセッション)で新たに3社(同サンズ、MGM、メルコ)が加わった。なお、契約締結時期の違いから、満期日はSJMとそのサブにあたるMGMが2020年3月31日、残る4社が2022年6月26日とされた。SJMとMGMについては、満期日のちょうど1年前に2022年6月26日までの契約期間延長が許可され、これにより6社の満期日が揃ったことになる。SJMとMGMは延長にあたりそれぞれ2億マカオパタカ(約27億円)を政府に支払った。

2021年、マカオで最も注目されているのが、満期を間近に控えたゲーミングコンセッションの動向だ。記事執筆時点で満期まで1年半足らずとなっている。

マカオ政府はかねてより新たなコンセッションを「延長ではなく、再入札方式とする」方針を示しているが、これまでのところ具体的な内容については未発表。マカオ政府のトップである賀一誠行政長官は昨年12月、「(その前提となる)ゲーミング法改正案の起草作業が新型コロナの影響で遅延している」とコメント。満期日が迫っていることについては、「コンセッションの再入札については今後のマカオの社会・経済発展と大きく関係する非常に敏感な話題であり、この件に関する外界の予想の類に対してコメントするつもりはなく、政府としてまさに関連法の準備を進めているところだ」とした上、「あらゆる可能性があるが、実施にあたっては手続きを踏む必要があり、適切なタイミングで公表する」とした。

上述の行政長官コメントの通り、コロナ禍でスケジュールに狂いが生じたこともあり、現地では再入札を実施するにあたっての時間的余裕が少なく、ひとまず現行ライセンスの延長で時間稼ぎをするのではないかとの見方が優勢だ。その根拠として、契約期間が20年以下の場合、政府は満期日の遅くとも6ヶ月前までに1回または複数回の延長(最長5年)を認可することができると法律で規定されていることが挙げられる。延長はすでにSJMとMGMの例があり、満期日のちょうど1年前に延長が決まった。この際に2年分を使い、残りは3年分と考えるなら、今年のそう遠くない時期にも3年の延長となる可能性があり得るのではないだろうか。延長にあたって相応額の拠出を求めるとみられるが、SJMとMGMが2年延長分として支払った額が参考になりそうだ。コロナ後の世界は従前と大きく異なるものとなるはずで、政府としても最新情勢を踏まえた上でコンセッション内容や入札条件などをじっくり詰める必要があるのではないかと想像される。

21世紀初頭の入札は40年にもわたる1社(SJMの前身)独占体制からの対外開放として大きな注目を浴び、21社が応札(3社が要件を満たせず脱落)した。かつての独占企業であるSJMも応札し、新コンセッションを無事に獲得している。現行のコンセッション6社についても、当然ながら次のコンセッションを獲りにいく姿勢を示している。現時点で入札・審査要件等に関する情報は全くないものの、特に近年は6社ともノンゲーミングコンテンツの拡充、施設の拡張及びリノベーション計画、地域コミュニティへの貢献、従業員の福利厚生の向上など、政府への猛アピールを続けている印象だ。中には、完成予定時期が現行のコンセッション満期日を跨ぐプロジェクトも存在し、並々ならぬ思いを感じさせる。

時期とともに注目されるのが、コンセッションの数だ。仮に現状の6社体制が維持されるとすればサブコンセッションの扱いはどうなるのか、新規参入に名乗りを上げるのはどこか、オペレーター数は増える可能性はあるのか、コンセッションの期間はどのくらいかなど、興味は尽きない。マカオでの実績がある現行6社は優位とされるが、一からの再入札プロセスを経なければならないため、プレッシャーも大きいだろう。どちらにしても、向こう3年間で将来のマカオの発展のカギを握る大きな決定がなされることになる。今後の動向を注意深く見守っていきたい。

大型カジノIRが建ち並ぶマカオ・コタイ地区

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶ新興埋立地のマカオ・コタイ地区。ゲーミングコンセッションの対外開放を機に21世紀に入ってから開発が進んだ(筆者撮影)

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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