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【コラム】2021年マカオのカジノ市場の展望(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2021年1月4日 更新日:

新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、2020年のマカオのカジノ市場はかつてない規模の大打撃を受けた。最新統計によれば、2020年1~11月累計のマカオのカジノ売上(粗利益にあたるGross Gaming Revenue、以下同)は前年同時期から80.5%減の526.23億マカオパタカ(約6861億円)にとどまっている。12月を残すのみだが、通期のマイナス幅は7割台後半程度と予想される。

コロナの水際措置は奏功、制限緩和で8月以降はGGRマイナス幅も縮小

マカオの総人口は約70万人。これに対し、年間インバウンド旅客数は約3940万人(2019年)にも上り、カジノを含めてマカオ経済のインバウンド依存度は極めて高いと言える。マカオでは、新型コロナ防疫対策の一環として1月下旬から入境制限を伴う厳格な水際措置が講じられたことを受け、インバウンド旅客数が激減。GGRのマイナス幅とほぼ一致している。

マカオでは、厳格な水際措置が奏功し、初夏以降の状況は落ち着いている。中国本土における状況も同様で、7月中旬以降、段階的に両地の間の往来にかかる制限緩和が進んだ。9月末までに中国本土からマカオへの渡航許可の発給も全面再開されている。

マカオのインバウンド市場に占める中国本土旅客の割合は約7割。GGRに占める現居地別の統計は存在しないが、中国本土旅客が約9割を占めるとされる。往来制限緩和によって8月以降はGGRの回復が進んでおり、11月まで4ヶ月連続で対前年のマイナス幅が縮小。すでに底を脱したとする見方が優勢だ。

思い起こせば、2020年2月には、防疫対策を理由として約2週間に及ぶ全カジノ施設の営業停止という前代未聞の事態もあった。その後、予定通り営業再開を果たしたものの、現在も入場時に検温、健康申告、直近7日以内の新型コロナウイルス核酸検査陰性証明の提示が必須となり、ソーシャルディスタンス確保の観点からテーブルの同時着席人数の制限、テーブル及びスロットマシンの稼働台数の調整といった徹底した防疫措置が講じられている。限定的な営業ではあるが、24時間営業を維持し、地元人材の雇用もほぼ守られている。

2021年度のGGR見込みは約1兆7000億円、新たな大型IR開業も予定

マカオのカジノ市場における2021年最大の関心事は、どの程度までGGRが回復するかだろう。すでに中国本土からのインバウンド旅客に対する門戸は開かれているが、事前予想よりも戻りが遅いことが指摘されている。マカオ入境時、中国本土への入境時のいずれも隔離検疫は不要だが、マカオ渡航許可の申請手続きをするにあたって自動受付機の使用ができない(予約制で役所の窓口へ赴く必要あり)、申請から発給にかかるまでの待ち時間が以前より長くなった、自費(日本円で約1200円)で新型コロナウイルス核酸検査を受けて陰性証明を取得する必要があり、かつ有効期限が7日間のみと短い、そもそもマカオに隔離検疫なしで渡航できるという情報が知られていないことなどが理由として挙げられる。目下、マカオ政府が中国本土向けに「健康」や「隔離不要」を打ち出した宣伝展開を強化し、カジノIR(統合型リゾート)運営企業も各種プロモーションを用意するなどして臨んでいる。旅客の利便性を考慮し、主要なカジノIR施設内には核酸検査スポットも併設された。今後、慣れと情報の浸透によって徐々に回復が進むとみられる。

マカオ政府は、11月に公表した2021年度(1~12月)の財政予算案において、GGRの見込みを1300億マカオパタカ(約1兆7000億円)に設定した。2019年実績のおよそ半分で、2009年と同程度となる。例年、見込み数字は比較的保守的となっているため、上振れする可能性もある。一方で、新型コロナの流行状況が悪化するようなことがあれば、下振れは避けられない。水際対策のコントロールやワクチンの開発状況などが肝となる。

2021年のポジティブ要素として、第1四半期に約2年ぶりとなる大型IR、「グランドリスボアパレス」の開業も予定されている。マカオでは、新規開業があるごとにGGRが底上げされてきた経緯がある。このほか、2月には「サンズコタイセントラル」が英国・ロンドンをテーマにした「ザ・ロンドナー・マカオ」としてリニューアルオープン予定。中国人ギャンブラーに馴染みの深いリスボアブランド、そして絶大な集客力を誇るサンズ系IRのリブランドとあり、中国本土からのインバウンド旅客の吸引につながるものと予想される。このほか、マカオの各IRでは、コロナ禍にあっても既存の拡張計画を着々と進めている。今後も世界一のカジノ都市の座をしっかりキープし続けるだろう。

新型コロナウイルス核酸検査スポットの案内サイネージ

マカオのIRに併設された新型コロナウイルス核酸検査スポットの案内サイネージ。コタイ地区・ブロードウェイマカオにて筆者撮影

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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