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『遊技日本』

【寄稿】伸び代の話/POKKA吉田

投稿日:2020年11月30日 更新日:

型式試験は「適合率」というものがある。これはたとえば保通協のHPに月初に掲載される数値から計算すれば「結果」の適合率だ。しかし、遊技機メーカーが型式試験申請前にシミュレーションした場合は「想定適合率」というものとなる。

ある型式を型式試験に申請した際、適合したり適合しなかったりすることから適合率のシミュレーションというのが出てくる。基本的には出玉率に関する部分、すなわち試射試験でどのようなデータが出るか、というものを計算する。型式試験においてチェックする構造や設計上の部分は、技術上の規格を満たしていなければ問答無用で不適合だ。しかし出玉性能については、試射試験時にあらわれたデータがどうなるかで決まる。

つまり、どのような出玉性能の型式を作っても試射試験のときに技術上の規格の枠内に収まっていれば適合するし、出玉性能がおとなしい型式を申請しても試射試験次第では不適合となる。5号機時代でいえば、たとえばAT系のペナ満載の低ベース値機種の適合率にも上下があり、あるいはノーマルタイプといえども適合率が高いとも限らなかった。

試射試験時のデータを想定した想定適合率というものはこういうものだから、積極的に出玉性能開発企画を盛り込めば適合率は低下していきやすい。それでも構わないということで低い想定適合率の中、申請を繰り返し適合したらようやく販売、ということをして初めて出玉性能的に攻めたものを遊技機メーカーは販売することができる。

今はその言葉もかなり使われるシーンが減っているが「ダミー」型式というものがあった。これはさまざまな理由によって申請される初めから未販売が確定している型式だ。「ダミースペックしか適合しなかった」ということで、しかし他にないからそれを売る、なんてことが噂されると販売台数が伸びなかったりした。

今もないわけではないが、要するに「出玉性能的に攻めたら想定適合率は下がっていく」ものである。だから、ベースになっている適合率が高ければ高いほど遊技機メーカー側にも余裕がある。適合率が数%で攻めて申請を繰り返す猛者メーカーもないことはないが、事業計画に甚大な影響が出てくることは自明だ。

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