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【コラム】カジノ運営事業者と警察当局の連携強化が進むマカオ(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2020年11月2日 更新日:

現在、マカオのカジノ施設は政府とコンセッションを結んだ民間事業者が運営しており、その数は6陣営。経済財政庁に属する博彩監察協調局が業界を所管しており、司法警察局にもカジノ関連犯罪を専門的に担当するチームが存在する。

官民一体で治安環境を維持

マカオのカジノ運営会社と博彩監察協調局及び司法警察局の関係性は良好で、距離も近いものと感じる。当局から運営会社に対して積極的に連携強化のアプローチが図られ、運営会社がそれに呼応し、官民が手を取り合ってカジノ及び周辺エリアの治安環境を維持し、良好なカジノビジネス環境を築く取り組みが進められている。カジノ産業はマカオ経済の屋台骨ともいえる存在だ。マカオの歳入に占めるカジノ税収の割合は約8割を占めるほか、カジノ運営企業はマカオ最大の雇用主でもある。調和の取れた状態を維持することは、広く公共の利益に資するというコンセンサスが取れているのだ。

では、当局と運営会社の間で具体的にどのような連携が進められているか、紹介していこう。まず、突発的な緊急事態に際し、博彩監察協調局と司法警察局による6陣営の代表を招集した合同会議が速やかに開催される。例えば、2017年6月にフィリピン・マニラのカジノ施設で襲撃・放火事件が発生したことは記憶に新しい。この際、事件2日後に会議が開かれ、当局から各カジノ施設のセキュリティ関連設備の追加や人員増を伴う入場時セキュリティチェックの完全化が要請されたほか、有事における速やかな共同指揮系統の確立のため、司法警察局とカジノ運営会社の警備部門の間の連携強化が議題に上った。その後、情報共有メカニズムとして実現し、事あるごとに有効性の検証を行うことでアップデートを続け、現在に至っている。カジノ施設を使った大掛かりなテロ対策訓練も定期的に実施されている。

防犯意識の向上を図るために司法警察局と運営会社がワークショップ

また、司法警察局では、カジノの現場の最前線で働くスタッフを対象とした防犯意識及び能力向上のためのワークショップを各運営会社と合同で定期開催している。講師役として司法警察局でカジノ・経済犯罪捜査に従事する刑事らがカジノ運営会社に出向き、運営会社側からは警備、監視・調査、マーケティング、ゲーミングテーブル、財務といった部門のスタッフが参加する。講師から司法警察局の組織と機能、マカオのカジノ施設内及び周辺エリアにおいてよく見られる犯罪の種類とそれに関連する刑法知識のほか、カジノ、偽造紙幣、振り込め詐欺、オンラインデート詐欺、マネーロンダリングといった犯罪をどのように抑止するか、警察に通報するか、捜査協力するかなどについて講義形式で紹介した後、小グループに分かれ、座談会形式で刑事と参加者が仕事や生活の中で遭遇する治安に関する問題やその対応についてのミーティングを行い、防犯意識と能力の向上を図るというもの。カジノスタッフがワークショップの参加を通じて得た経験を友人や家族と共有するのも狙いという。司法警察局はカジノ関連犯罪の捜査だけでなく、予防にも重きを置いており、現場スタッフとその家族も含めて広くカジノ業界との連携を密にしたい意向を持っている。

実は、マカオのすべてのカジノ施設内には、博彩監察協調局の監督員と司法警察官の警察官が24時間体制で駐在しており、運営状況を厳しくチェックしている。施設外の公共エリアは治安警察局の警察官が巡回する。カジノ施設も独自の監視体制を敷いており、内部の不正行為にも目を光らせている。例えば、ディーラーと客が組んで両替を装ってチップを盛る手口、ディーラーによるチップの持ち出しなど、内部による監視で発見次第、速やかに警察に通報する仕組みとなっている。カジノにおける監視、管理体制は徹底しており、不正行為は必ず見抜かれ、隠蔽も不可能とされている。司法警察局はカジノ施設を対象とした抜き打ちの取り締まりも頻繁に実施している。

なお、現行のコンセッションの満期日は6陣営揃って2022年6月26日となっており、政府は更新ではなく再入札方式を採用する姿勢を示しているが、詳細は現時点で未発表。6陣営はいずれも次期コンセッションの獲得に意欲を見せており、近年は当局と幅広い分野で連携強化を模索する動きが活発化しているようにも感じる。

余談だが、マカオでは警察官が定年退職後にカジノ運営企業へ再就職する例もあるという。採用後のポジションは警備関係部門が中心のようだ。

マカオ司法警察局が2020年9月にカジノ運営事業者SJMホールディングス社と合同開催したワークショップの様子(写真:マカオ司法警察局)

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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